薩摩藩主・島津家の邸宅庭園である仙巌園(通称 磯庭園)内に、「水力発電用ダム」という案内板があった。
庭園の中にダム?
1892年に庭園で使う照明などの電力を賄うために築造された石造り堰体を持つ貯水槽。水の吐出口が堤体上部に設けられ、落水の力で発電したらしい。
しかし上から見るとダムというより石造りの枡状の池で、規模も小さい。谷を堰き止めるダム式の水力発電にはほど遠いものがある。
この設備の下には、九州電力から返還された水力発電設備の壁を移設した池もあった。
ほかに園内には、世界文化遺産の構成要素となった反射炉跡や、高枡という配水設備や石造りの濾過池など、庭園とはいえさまざまな近代技術を取り入れており、薩摩藩の新進気鋭の精神を実感できる。
日本における水力発電の黎明については、ここ仙巌園と同年の1892年に神奈川県の箱根湯元でも水力発電による照明が行われている。(当ブログでは「吉池旅館の庭園池(神奈川県箱根)」の項で紹介)
日本最初の事業用水力発電は、1891年に京都府の琵琶湖疏水で実用化。これが最古であろうか。(当ブログでは「夷川ダム(京都府京都)」の項で紹介)
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マークした場所は駐車場。