水辺遍路

実踏・日本の湖沼 8,000湖

細池と牛池(新潟県糸魚川)

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池の水源や、三つの池の通水関係は、いずれも成因である大規模な土砂崩れと地下水脈にある。川に向かってなぜ流れ出していないのかなど、地形的な不思議と魅力がある。再調査して報告したい

 

地形愛と地酒愛

地酒の銘柄にもなっている「月不見の池」。
その月不見の池ジオサイトの案内板がよくできていて、よく見ると月不見の池からの流れ出し先に、牛池、つづいて細池という二つの池名も記されている。

地図の中に「牛池」「細池」と記載。左側には4番に細池の写真もある。


 

細池と牛池は「月不見の池」の実体名?

この地図を見たとき、なるほど、牛池と細池の二つの実体のある池を総称して「月不見の池」という芸名が冠せられているのだなと思った。そういうダブルネーミングは観光地化している池では全国的にめずらしいことではない。
Google マップには細池の方は出ていないが、大きなメインの池が牛池で、流れ出した先にある集落側の細長い池が細池。
と、そんなふうに思っていたところ、Yahooの新マップ(ベータ版)を見て愕然・・。


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Yahooの新マップ(2020)で見た月不見池周辺(左)には三つの池が記されているが、Google マップ(右)では月不見の池から細池へと連続的に流れ出しているように作図されている。


 

Google マップにはないYahooマップ上の第三の池

月不見池の上に二つの池が記されている。
上が細池、真ん中の小さな池が牛池ということか。
細池の方は両マップとも問題ない。航空写真で確認しても確かに実在している。
しかし牛池の方は航空写真でも位置の特定が難しい。
一般的に考えれば三つの隣接した池に通水関係があるGoogle マップの方が理解しやすい。
上から月不見の池から流出した水が、牛池、つづいて細池と流れ、段丘下の河川へと吐き出されていく。
しかし、現地案内板を精読してみると、信じられないようなことが記されていた。


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月不見の池の上流側に牛池、その上手に細池が!


 

上下関係が逆?! 誤植じゃないとしたら・・

上の写真は池たちが巨大な地すべり地形に生まれたことを説明した案内板の部分拡大。
池の周辺の地形が、古い不透湿の地層と火山性の地層の「二階建て」になっていて、いわば二階部分がごそっと山斜面をすべり落ちたということらしい。
地すべり地形というネガティブなものをプラス要素として生活や信仰に活かした事例としては、山古志の棚池群を拙著『日本全国 池さんぽ』でも採りあげたが、ここでも地質的な事情は似ているようだ。

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上の案内板の鳥瞰図を見ても、月不見の池から細池へと流れ出した水が下の早川に下っていくと見るのが、ふつうだろう。
しかし右側のカットモデルで図示されているのは、まったく逆で、八十八ヶ所の下に細池・牛池があり、その流末に月不見の池がある。


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月不見の池は水源池ではなく、地下水の吐き溜め?

確かに今一度、Google マップに立ち戻ると、細池の北側の、当初は下流と思っていた方が細くなって先の部分が消失している。
この水源がどうなっているのかがキモになるが、航空写真では確認できなかった。
また、細池への遊歩道と月不見の池への分岐点からは、両池の高低差は把握できなかった。感覚的には山に向かって奥にある月不見の池の方が高く感じるし、里側の細池は低く感じる。
高低差が直感とは逆になる特殊な地形?
次は空撮で確認したいところだ。

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細池へのアプローチ路入口。160m先と記されている。


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細池と牛池の周辺(右手が牛池)


 

細池と細池遺跡の石碑

細池と牛池については、名が彫られた石碑もあった。
牛池には「名しょう(名勝)」とも読める。
細池の方は、判読できず。すみません。
細池遺跡は縄文時代の生活跡。昔から集落の飲料水として使われていたというだけあって水は清冽。イワナ、ニジマスが生息しているという話も。

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左側の石碑は「細池遺跡」。中央は月不見の池の碑。右は、牛池、細池、八十八ヶ所の三つの名が刻まれている。


マークした場所は駐車場。