水辺遍路

訪れた池やダム 9,999スポット

美多羅志神社の池(三重県鳥羽)

f:id:cippillo:20220118091811j:plain
池の前に掲げられたオオウナギの案内板

島にある小さな寺社池で・・

2018年2月、鳥羽湾に浮かぶ有人島の小さな池が全国のニュースでとりあげられた。美多羅志神社の境内にある寺社池で全長1.3m、重さ3.5kgのオオウナギを神社関係者がタモ網で捕獲したのだ。
神社の守り神の池ヌシでは? ということになり、オオウナギは池に戻されたものの数日後に動かなくなったところを捕獲され、水産高校に運ばれたものの衰弱死した。腹部に傷を負っていたという。

f:id:cippillo:20200204223221p:plainf:id:cippillo:20200213171519p:plain

答志島に上陸。いざ池へ

鳥羽の佐田浜にある鳥羽マリンターミナルから定期船で上陸。島に港は三つあり、今回は南側の和具港へ。

f:id:cippillo:20220118104334j:plain

f:id:cippillo:20220118104413j:plainf:id:cippillo:20220118104404j:plainf:id:cippillo:20220118104355j:plainf:id:cippillo:20220118104344j:plainf:id:cippillo:20220118104324j:plain
f:id:cippillo:20220118104313j:plain

和具港の空撮

この海を、まだ小さな稚魚だったオオウナギがひとりでスルスルと泳いできたのかあ。

f:id:cippillo:20220118085417j:plainf:id:cippillo:20220118085406j:plain

神社への道

二つの港をつなぐ峠道。すぐに上り坂が始まった。
下の写真左の、ちょうどV字になった山の低くなったところが目的地。

f:id:cippillo:20220118091622j:plainf:id:cippillo:20220118091636j:plain

神社に到着

標高25mほどで、海はといえば遠くちらっと見えるだけ。

f:id:cippillo:20220118091704j:plainf:id:cippillo:20220118091651j:plain
f:id:cippillo:20220118091929j:plain

鳥居をくぐり石段を登る

神社とお寺の入口が並んでいて、鳥居のある石段の方を登る。

f:id:cippillo:20220118091916j:plain

f:id:cippillo:20220118091905j:plainf:id:cippillo:20220118091850j:plainf:id:cippillo:20220118091837j:plain
f:id:cippillo:20220118091758j:plain

石組護岸

石組みの護岸で水面との比高は2mほどあろうか。

f:id:cippillo:20220118091743j:plainf:id:cippillo:20220118091730j:plain

池の流入路

国土地理院地図では、池の西隣に小さな谷があり沢が明示されている。
下写真の左側に見える水路のようなものがそれだろうか。水源としてはこれ以外には見あたらないが、どのように呑口までは確認できず。

f:id:cippillo:20220118091824j:plainf:id:cippillo:20220118091716j:plain

吐き出し

吐き出し側の流出路は確認できなかったが、流出水路が海へに直接流れ出していなければ、オオウナギの侵入は不可能となる。謎すぎる。

f:id:cippillo:20220118112315j:plain

f:id:cippillo:20220118091704j:plain
池の直下にある広場ごしに、わずかに海が見える



 

オオウナギは「丑の日」に食べるウナギとは別種

オオウナギは食用にされるニホンウナギとはまったく別の南方種。最大で体重20キロ、体長2メートルにまで成長する。
おもに日本でも南の方で生息が報告されているが、三重県の鳥羽湾では例がない。
オオウナギ生息地として国指定天然記念物になっているのは和歌山の白浜、徳島の海洋町、長崎の樺島の三ヶ所。鹿児島の池田湖では市の天然記念物に。
一方、沖縄では公園池でオオウナギがふつうに泳いでいて驚いたこともあり、亜熱帯気候では珍しい存在でもないようだ。

f:id:cippillo:20200408130129j:plain
与那国島の小さな川で岸から撮影したオオウナギ

bunbun.hatenablog.com


 

全国に見る巨大ウナギの池

ウナギに関しては全国各地に不思議な池が点在している。さまざまな事例を見てみよう。

オオウナギ生息の池でも、オオウナギでないケース

寺社池でありながら、海近くの天然池として天然記念物にもなっている「賢沼の大ウナギ」の場合は、前述の「オオウナギ」ではなく「大ウナギ」。蒲焼にするジャポニカ種の大きいやつ、という意味である。

bunbun.hatenablog.com

東北には「ゴマウナギ」なるものが生息する池が

岩手県八幡平の御護沼の池伝説に出てくるゴマウナギは、正体がよく分からなくて歴史ロマンがある。オオウナギ説もあるというが、どうだろうか。

bunbun.hatenablog.com

ありえない場所で見つかったオオウナギ

集落の中にある井戸。そんな首を傾げるような場所でメーター級の巨大オオウナギが見つかった前例としては、長崎県の樺島が有名。
ここは天然記念物にもなっているが、現在は八代目オオウナギも死んで無住。

f:id:cippillo:20150509110456j:plain
bunbun.hatenablog.com

f:id:cippillo:20220118101048j:plain
拙著『日本全国 池さんぽ』でも採りあげた



 

巨大ウナギはどこからやって来た?

それにしてもこれほど大きな魚がどこからやって来たのか。そして、こんな小さな池でどうやって成長し、何年も生き続けて来たのか。

オオウナギは海からやって来る

前記のケーススタディでは、オオウナギが小さな稚魚の姿で海から俎上してくるため、ほとんどが海のすぐ近くという立地だった。
そう考えると、ここ答志島でも海岸近くのこんな井戸なら、オオウナギがいてもおかしくない。

f:id:cippillo:20220118091941j:plain

実際の立地は・・

現地に行ってみて驚いた。
オオウナギが見つかった美多羅志神社の池は、海岸から離れた山の中腹にある。とても海から魚が遡上してこれるような場所に見えない。

f:id:cippillo:20220118085355j:plain

f:id:cippillo:20220118112315j:plainf:id:cippillo:20220118085341j:plain


類似したケース

参考になりそうなケースとして思い浮かぶのは、静岡県伊東にかつてあった浄ノ池という小さな池。
すさまじい流転の歴史に翻弄された池だが、ここも海岸から離れた町中にありながら、オオウナギではないものの、さまざまな海水魚が泳ぐ池として天然記念物に指定されていた。
この池には水路が通じていることを、海からたどって調査したことがある。
その結果、池がある場所まで常時、水路にはたえず水の流れがあった。海面との比高も小さいので、大潮などの満潮時には一定レベルの逆流もあったと思われる。

f:id:cippillo:20200911213025j:plain
bunbun.hatenablog.com


 

推論にも至らず

現地で少し歩いてみたぐらいでは、池のオオウナギの謎に対してまったく歯が立たなかった。
池の下で目に止まった東側の沢筋に注意をとらわれすぎていて、国土地理院地図に記されていた西側の水路を見落としていた。
ただ、この西側水路にしても、空撮写真、現地写真をいくら睨んでみても、和具港までの動線が見えてこない。次回は暗渠も含めてこのあたりをじっくり探査してみたいと思う。雨の日もいいかもしれない。
が、そこそこの勾配があるだけに、ふだんはチョロチョロ程度の水路も、ひとたび水が出ればあっとう間に急流になるだろう。どんな熱意をもってすれば、標高25mの池への遡上に成功するのか、あるいはこの個体以外にも夢敗れた同志がいたのか、数十年に及ぶ寿命のなかで若かりし日の挑戦への悔いはなかったのか・・ただただロマンが胸に迫る。

f:id:cippillo:20220118112315j:plain


 

Google マップ

おもしろい生き物がいる池

f:id:cippillo:20200301120248j:plain

固有種、希少種、絶滅危惧種、未確認生物、見た目が変わった生き物など、ひとくせある動植物や魚たちのいる湖沼をセレクトしました。

おもしろい生き物がいる池

  • 池田湖(鹿児島県指宿)怪獣イッシー。その正体は2mのオオウナギか。
  • 高浪の池(新潟県糸魚川)体長4m。伝説の巨大魚「浪太郎」
  • 大鳥池(山形県鶴岡)体長2m。伝説の巨大魚「タキタロウ」

bunbun.hatenablog.com

  • 美多羅志神社の池(三重県鳥羽)2018年、オオウナギが捕獲。
  • 本願清水イトヨ生息池(福井県大野)天然記念物となったイトヨ生息地。
  • 六郷湧水群(秋田県美郷)トミヨが生息。
  • 卵池(福島県昭和)クロサンショウウオの卵が怖い。
  • 粥川ウナギ生息地(岐阜県郡上)
  • 鏡池(奈良県奈良)「馬魚」が生息。ワタカのこと。奈良の天然記念物。
  • 母川のオオウナギ生息地(徳島県海陽)
  • 又八沼(青森県青森)シナイモツゴ生息池。
  • 雨生ヶ池(新潟県三条)アマゴイルリトンボも生息。シナイモツゴも?
  • 天王池(岐阜県関)ウシモツゴ生息池。
  • 滝ノ谷池(愛知県豊橋)淡水のマミズクラゲが生息。
  • 明見湖(山梨県富士吉田)絶滅危惧種のホトケドジョウが生息。
  • 蟹ヶ池(高知県土佐)絶滅危惧種のベッコウトンボが生息。
  • 大芝湖(長野県南箕輪)

bunbun.hatenablog.com

  • おのころ池(宮崎県高千穂)チョウザメ。
  • 野依新池(大分県中津)ベッコウトンボ。
  • 高鍋防災ダム(宮崎県高鍋)サギソウ、ハッチョウトンボ。
  • 鶴田沼(栃木県宇都宮)ハッチョウトンボ。
  • 鶴ヶ池(静岡県磐田)ベッコウトンボ。
  • 桶ヶ谷沼(静岡県磐田)ベッコウトンボ。
  • ヨシ沼(栃木県那須塩原)ハッチョウトンボ、アズマヒキガエル。
  • マスミ池(愛知県蒲郡)ヤクシマルリシジミが生息。
  • 月見が池(山梨県上野原)県で唯一のキマダラルリツバメの生息地。
  • 平の沢池(京都府亀岡)アユモドキとオニバス。
  • 中山池(京都府亀岡)アユモドキ。
  • 平野沢の下池(京都府亀岡)アユモドキ。
  • 南郷池(京都府亀岡)アユモドキ。40種のトンボ。
  • 神代植物公園の池(東京都調布)オオオニバス。
  • 羽竜沼(山形県山形)いつか釣りたい羽衣べら。

bunbun.hatenablog.com

  • 東郷池(鳥取県湯梨浜)鬼蜆(おにしじみ)。
  • 商人沼(宮城県加美)テツギョが生息。
  • モリアオガエルの池(広島県大野)モリアオガエル。
  • あしくらの池(長野県諏訪)谷地坊主。
  • 寄島アッケシランドの池(仮称)(岡山県浅口)本州唯一のアッケシソウ自生地。
  • 平池(兵庫県加古川)ホンモロコを養殖。
  • はいむるぶし水牛池(沖縄県小浜島)水牛がいる。
  • 小浜島南部農業用貯水池(仮称)(沖縄県小浜島)インドクジャクが駆除対象に。
  • 御護沼(岩手県八幡平)ゴマウナギ。
  • 田代沼(秋田県湯沢)オゼコウホネ。
  • 桂沢湖(北海道三笠)エゾミカサリュウの化石。湖畔には似てないオブジェ。
  • 奥出雲佐白の池(仮称)スジエビ大群泳。
  • グダリ沼(青森県青森)プラナリアが五種も生息。
  • 常願上池・常願下池(新潟県上越)片葉の葦が生える。
  • イバラトミヨ保護池(秋田県湯沢)
  • 元荒川ムサシトミヨ生息地(埼玉県熊谷)
  • 黒島研究所 ふれあい なまこラグーン(沖縄県黒島)ナマコとふれあえる池。
  • 黒島研究所 サメ池(沖縄県黒島)サメにエサやりできる池。
  • モネの庭・トンボ池(高知県北川)ラクウショウ。
  • 蒲田池(福岡県篠栗)ラクウショウの名所。

bunbun.hatenablog.com


f:id:cippillo:20210806105519j:plain
グダリ沼(青森県)には、プラナリアが五種も生息。


f:id:cippillo:20200206004052j:plain
琵琶湖原産のニゴロブナ


f:id:cippillo:20171010155443j:plain
「馬魚」ことワタカ。日本の固有種であり、奈良県では天然記念物である。


f:id:cippillo:20180202233238j:plain
宝石のようなミヤベイワナは然別湖の固有種


f:id:cippillo:20170329122202j:plain
モツゴの亜種


f:id:cippillo:20170202204022j:plain
アユモドキ


f:id:cippillo:20180401142415j:plain
ラクウショウ


f:id:cippillo:20170203174927j:plain


f:id:cippillo:20181229141938j:plain
琵琶湖固有種で高級食材として養殖もされるホンモロコ。


f:id:cippillo:20181121124629j:plain
あしくらの池(長野県諏訪)などで見られる谷地坊主はセリ科の植物。ほかに日光戦場ヶ原や北海道釧路湿原などでも見られる。


f:id:cippillo:20210126234051j:plain
北海道の桂沢湖畔には恐竜のオブジェが立っている。


f:id:cippillo:20210929131131j:plain

黒島研究所 ふれあい なまこラグーン(沖縄県黒島)

f:id:cippillo:20220117085218j:plain

ナマコとふれあえる池?

ウミガメについて研究している黒島研究所内にある海水の人工池で、さまざまなナマコが飼育されている。その名も「ふれあい なまこラグーン」。ラグーンとはラテン語の「池」。日本語で使われる場合は、潟湖や礁湖の意味で使われるが、ここではサンゴ礁地質の後者をかたどったものだろう。
親水護岸が設けられ、その名のとおり、いろんな種類のナマコちゃんたちと触れ合える造りになっている。この日、私が触れ合ったのはクロナマコ。食べちゃいたいぐらいかわいい。食用ナマコのなかでも「黒いダイヤ」ともいわれる高級品。ごくっ。
ナマコを見れば日本酒を思い浮かべずにいられない人間に触られる時間は、ナマコにとってみれば触れ合いどころではなく恐怖でしかなかったろう。
水源はポンプによって汲み上げられた地下水。黒島では地下水も海水。
研究所では一般向けに、海洋生物を育てている池や水槽を一般向けに有料で開放している。
黒島は八重山諸島のひとつ。離島ターミナルのある石垣島から高速船で30分ほどの船旅で上陸できる。
黒島研究所は入館料500円。年中無休。


f:id:cippillo:20220117084958j:plain
池のナマコちゃん


f:id:cippillo:20220117085229j:plain
奥ではちょうど研究生たちが手掘りで池の拡張工事中
f:id:cippillo:20220117085206j:plainf:id:cippillo:20220117085014j:plainf:id:cippillo:20220117085005j:plain


f:id:cippillo:20220117085022j:plain
池の水源部


f:id:cippillo:20220117085036j:plainf:id:cippillo:20220117085029j:plain
コンクリート池と天水プールタイプの池


f:id:cippillo:20220117085042j:plain
室内の展示
f:id:cippillo:20220117084952j:plainf:id:cippillo:20220117084945j:plainf:id:cippillo:20220117084938j:plainf:id:cippillo:20220117084930j:plainf:id:cippillo:20220117084924j:plainf:id:cippillo:20220117084917j:plain
f:id:cippillo:20220117085130j:plainf:id:cippillo:20220117085120j:plainf:id:cippillo:20220117085110j:plainf:id:cippillo:20220117085100j:plainf:id:cippillo:20220117085050j:plain


bunbun.hatenablog.com