水辺遍路

訪れた全国1万1,300の池やダムを独自の視点で紹介

鎌北湖(埼玉県毛呂山)

【かまきたこ / 山根溜池】

2020年、水抜きされた鎌北湖の取水設備

強烈な斜度の取水設備が美しい農業用ため池。釣り場から廃墟感のある池へ

昭和時代に竣工した山根溜池というダムスペックを満たす農業用ため池であるが、山と林に囲まれた埼玉屈指のヘラブナ専用の有料釣り場として湖面利用されており、湖畔は四季彩の丘公園として整備され、駐車場、トイレ、遊歩道がある。
特に桜の季節はぜひ訪れたい釣り場で、岸には釣り台がめぐらされているが、頭上に木々があるので長尺の竿はコントロールがテクニカル。
2011年の初訪時は貸しボート店、食事施設、温泉、旅館、釣り用品店があったが、2023年の再訪では廃墟感も漂う寂れた雰囲気も。

ヘラブナ釣り場としての顔も

海なし県・埼玉のレジャー「ヘラブナ」

海なし県の埼玉では昔からヘラブナ釣りがゴルフと並ぶ人気レジャーで、農業用ため池が管理釣り場や会員専用の釣り場として占有的に湖面利用されているところも少なくない。
同様の形態で「〜湖」という観光用ネーミングをもつ池は、鎌北湖から10km圏内に宮沢湖、みのわだ湖がある。なお宮沢湖はヘラブナ釣り場は閉園し、現在はムーミンパークになっている。

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堰体工事でヘラブナを救出

堰体の耐震化工事に向けて池の水が抜かれることになり、2019年秋から釣り場管理をしている任意団体が無料開放期間を設けて異例のヘラブナの救出作戦が行われた。
なんと救出したヘラブナは東海地方の老舗管理釣り場「ひだ池」に移送されたとのこと。埼玉でなく、なぜ岐阜まで? と驚いたが、池に水がもどってきたあかつきには、フナたちは戻される。
冒頭の写真は埼玉在住の長距離ランナーの弟が送ってくれた。(2020年5月現在)



耐震工事で22年ぶりに鎌北湖の水を抜いた結果…



 

鎌北湖の設備と景観

強烈な斜度の美しい取水設備

取水用の斜樋は急傾斜で奈落のような底に落ち込んでいて、スリリングな湖岸形状。満水になると穏やかな表情の池だが、水面下はこんなすごいことになっていたとは!

堰体

アースダム。前法面は石張りで雰囲気もいい。

ラビリンスちっくな洪水吐

ラビリンス堰を思わせる異形タイプ。


駐車場・トイレ


案内板



2011年の鎌北湖

ボートが整然と並び、名釣り場の香り。




 

奥武蔵自然歩道の一部に



 

廃墟感のある水辺

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Googleマップ

マークした場所に駐車場とトイレ。