あぶのいけ。
スッキリと、ピリッと
それにしても、なんという張り詰めた空気。
きれいに刈り込まれ手入れされたアースダムのキワキワな急傾斜。
柵、看板といった余計なものがないだけでなく、ため池にあってしかるべき設備さえも見えない。究極まで削ぎ落とされた洗練。いや、逆だ。昔の溜め池が持っていた原石のごとき力強さがそこにあった。
これはけっして自然の美なんてものではない。人の手、人がかけてきた愛情が溜まっている。
ハイダムスペックの堰体だが、天端には徒歩で這い上がるしかない。
取水管理は堰体下のポンプ設備による。取水口はフロートタイプ。しかし洪水吐はどこだろう?
下流300mほどに集落もあり、万が一を考えてのことなのか堰体直下にコンクリート堰堤の小さな池が設けられている。大型ダムでいえば、さしずめ減勢池といったところか。
こんな姿を今に保ってきたのは奇跡に近い。
マニアックな池アイテム
なんといっても、コレ!
木製の水没樋門。しかし堰体のサイズを考えると、底樋ではなさそう。重力式コンクリートダムに見られるオリフィス(常用洪水吐)のようなものだろうか。
そして、洪水吐もすごかった。
ハイダムスペックのアースダムだと、改修によってコンクリート製の立派な洪水吐が設けられるのが一般的だが、これは泣ける! 感涙ものだ。
そして、斜樋もない!
フロート型の取水口からホースがのびる。呼び水は堰体下のポンプで行うようだ。
で、底樋は?
今一度、冒頭の写真をよく見てほしい。
堰体中央部の沖に黒い棒のようなものが水中にうっすらと。
堰体の下流面にはコンクリート枡がある。
つまり、これは長い丸太の池栓では!?
噂には聞いたことがあったが、泳いで抜くのだろうか。
堰体下の減勢池?
アプローチ路と駐車スペース
マークした場所がアプローチ路入口。