水辺遍路

訪れた全国1万1,100の池やダムを独自の視点で紹介

池田湖(鹿児島県指宿)

開門岳(左上)と池田湖。左下はマールの鰻池、右下の円形の農地は「池底」と呼ばれるマール(2022年撮影)

日本では5湖しかない水深200m超の湖沼

周囲16km、水深233mの九州最大のカルデラ湖
日本本土の南端近い立地と百名山・開聞岳を従えた絶景を誇り、幻の巨大未確認生物「イッシー」や実在の巨大オオウナギ群から湖底火山まで話題も豊富。
日本の代表的湖沼44(筆者選)のうち九州では唯一のエントリー。

 

流出口を人の手で開削!

江戸時代に島津斉彬の思いつきで。でもやっぱり祟り?

江戸時代末期に島津斉彬が池田湖のカルデラ外壁を突貫して湖水をかんがい用水に利用することを思いつく。当初、池田湖の水神の祟りを恐れて工事担当者が逃げ腰だったところ、さすが明君・斉彬、「人に役立つことをして喜ばぬ神などおろうか」と工事を強行。しかし翌年、斉彬は亡くなり江戸幕府も消滅して工事は中断。これってやっぱり祟り?
しかし明治時代に県令(県知事)の命で巨費を投じ難工事もついに完了。
池田湖は水路を通じて新川に合流、初めて海とつながった。これにより湖面は3mも水位が下がったとされる。

鳥越堀切

橋の上から見ると開削部のおおよその全貌を見下ろすことができるが、木々に阻まれ水路の細部までは見えなかった。奥は池田湖。

決湖碑

「決湖」という言葉は「決壊」を思わせて凄みがある。
決湖碑までは農道スペックでクルマで進めたが、ここから先は徒歩で進む。
寄り添う水路はコンクリート製で幅も狭く、水量も少なかった。

開削部と水門

上に橋が見える。奥が池田湖になるが、これより先に歩道なり管理道なりはなく、細部を確認することはできなかった。トンネル式ではなく開渠に見えるが、工事時の古い写真を見ると石積みアーチのトンネルらしきものが写っている。現在もパイプが通っている。
水門でどのような制御や運用を行なっているのかも興味深い。


他の事例

流出口のない天然湖に対して人工的に流出河川を設けた事例としては山梨県の河口湖がある。


bunbun.hatenablog.com



 

レジャー・観光

パワースポット黄金の鳥居

小さなオートキャンプ場(有料)、カフェが併設。



釣り・カヤック

カヤック出艇もしやすい。
無料駐車場からカヤック出廷ポイントが目の前。階段もついた浜でラクラク。
釣りの方は、トラウト類。バスはいないとされる。

SUP・プレジャーボート

えぷろんハウス池田にて申込受付。このあたりの平地は灌漑用水が開削されるまで湖底だった。


 

オオウナギとイッシー

池田湖の巨大未確認生物

1970年代に法事で集まっていた20人ほどによる集団目撃で全国の注目を浴びた池田湖の巨大未確認生物「イッシー」。テレビ番組など数多く採りあげられ、証拠写真に賞金もかけられたこともあるが、湖の守り神なので捕獲はしないでとのこと。
湖畔には二体のイッシー像も。


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オオウナギの方は市の天然記念物

体長2m胴回り50cmというオオウナギが群息しており、市の天然記念物にも指定されている。これが幻の怪獣「イッシー」の正体ではないかという説もある。
オオウナギはニホンウナギとは別種のウナギで、南西諸島から四国九州の南部で生息地が点在している。
なかには小さな島の井戸や寺の池からモンスタークラスが現れたりして全国ニュースになることもある。

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絶景スポット

逆さ薩摩富士

条件がよければ逆さ薩摩富士(開聞岳)が湖面に。開聞岳は百名山のひとつ。



大カルデラ壁

池田湖の湖岸のなかでも、もっとも切り立っていて大迫力。やすらぎ公園に駐車場あり。



花と開門岳

湖畔の棚田

新永吉棚田はNHK大河ドラマ『篤姫』ロケ地。



 

池田水源地

黄金の鳥居の奥に取水施設があった。



 

マップ

ニッポン湖沼図鑑マップ(作成中)

ver.1.1(2024年2月)

現地案内マップ

Googleマップ