沼のヌシ「ゴマウナギ」と姫の池伝説
岩手山麓の湖沼群では最奥部にあり、松川温泉も隣接。
ゴマウナギと沼名をもつ姫にまつわる摩訶不思議な伝説も残っている池だけに、これら湖沼群の筆頭格といえようか。
くだんの女護姫は、この沼の主だったゴマウナギの子ともいえる化身。捕獲され城主婦人に食べられてしまった主ウナギが、婦人の胎内を借りて生まれかわり、再び、この沼に帰ってきたという伝説。姫の名をとって女護沼とも呼ばれる。
2022年夏の再訪時はゴマウナギが現れないかと、翡翠のように美しいトンボが飛び交う水面にレンズを向けてじっと待ってみた。しかし魚影は捉えることができなかった。





ゴマウナギの正体は? ニホンウナギかオオウナギか?
種としては、ニホンウナギ
それにしても、ゴマウナギとはなんぞやと思い調べてみると、これがなかなか難しい。
種としては蒲焼きでお馴染みのニホンウナギであるが、まれに川の源流部に棲みついたものは、冷たい水に適応して皮が固く、ゴマのような斑点が見られるそうだ。(脂はのっておらず、美味ではないらしい)
確かに土用の丑の日にウナギを食べない地として知られる岐阜県郡上「粥川ウナギ生息地」のニホンウナギは、こんなところでウナギが棲めるのかと思うような清冽な渓流だった。
オオウナギ説
一方、ゴマウナギはオオウナギではないかとする説もある。オオウナギも日本の天然種だが、ニホンウナギよりもはるかに大きくなる別種で、最大2m、体重50kgに達することもあり、体側に斑点をもつ個体もめずらしくない。
このオオウナギも水のきれいな井戸に棲み着いたという事例が長崎県の「樺島オオウナギ井戸」に見られる。
温泉は関係あり?
御護沼の主であったゴマウナギがいずれのウナギかについては、城主夫妻の御膳に供されるぐらいだから、きっと美味であっただろうし、また、主といわれるほどなら、ある程度は人をびっくりさせる大きさがあった考えられ、オオウナギの方に軍配が上がるだろうか。ただ、現在のオオウナギの分布域は利根川以西というから、これもこれで無理がある。
松川温泉のあたたかい水が川に流れ出して・・となってくるともはや妄想か。
アクセス