「神々の遊ぶ庭」に穿たれた国内最大級の山池群
北海道の最高峰を持つ道内最大の脊梁山脈だけあって、この巨大な山塊が擁する湖沼の総数は数十から百以上あると思われる。これほど多くの山池群は国内屈指の規模。北海道のみならず日本最大かもしれない。
航空写真での解析で飛躍的に調査がしやすくなったとはいえ、雪に埋もれていて夏のわずかな期間しか顔を出さないような沼沢や池塘も少なくないと思われる。
また現地調査もヒグマ多発地帯も多く含まれるため、単独行は避けたいものがあり、なかなか踏み込んだ調査ができない。
いつかじっくり腰を据えて向き合った山池たちを鳥瞰図に落とし込みたいと思っているけど、ある程度ものにするには一ヶ月以上の滞在は必要そうだ。
「川がめぐる上の山」の「神々が遊ぶ庭」
「ヌタクカムウシュペ」というアイヌ山名が意味する「川がめぐる上の山」について深田久弥氏は「日本百名山」の「大雪山」の項で冒頭から熱のこもった筆致をくり出し、川の源をなす姿見の池や沼の平について言及している。
大雪山という名はいつ頃からついたかはっきり知らないが、もとはヌタクカムウシュペと言った。(中略)「川がめぐる上の山」とは、原始民の直截素朴な、まことに当を得た名づけ方であって、石狩・十勝の二大川がその源をこの山塊から発し、その麓をめぐって流れている。
しかし今や大雪山である。
(深田久弥『日本百名山』)
大雪高原の山池群(20)
雪屏風を背にした標高1300〜1500mの豪快地形の山池群
「大雪高原温泉 沼めぐり登山コース」が設定されており、沼めぐりをする際には登山口にあるヒグマ情報センターでレクチャーを受ける必要があるほか、池ごはんができる場所も緑沼、大学沼、高原沼の三ヶ所に限定されている。またコンロなどの調理はコース内では全面禁止。
コースは1周7kmで徒歩4時間。入山は7:00〜13:00。
登山口に温泉施設が併設。現地のレクチャー資料には、このコース内だけで18の名前のある池が記載されている。





ビジターセンター
施設名は、大雪高原ヒグマ情報センター。沼めぐりをするには、ここでレクチャーを受ける必要がある。
部屋からのドアが登山路入口にもなっている。ヒグマに関する資料あり。
大雪高原温泉
登山者用駐車場を兼ねている。
旭岳山腹の山池群
ロープウェイ利用で手軽に池さんぽできるエリア。
姿見の池など。
忠別沼と忠別川源流の沼沢群
なだらかな高原ハイキングだが、ここにアクセスするまでが大変。
大雪高原温泉から往復6〜7時間。



トムラウシの山池群
ヒサゴ沼、北沼。日本最大の山岳遭難で有名になってしまった。山中泊が必要か。百名山にも出てくる。