標高1300〜1500mの豪快な大雪高原に穿たれた山池群
「北海道の屋根」とも称される大雪山は、深田久弥「日本百名山」にも列せられた2千メートル峰が連なる巨大山塊。「ヌタクカムウシュペ」というアイヌ山名が意味する「川がめぐる上の山」について「百名山」では冒頭から熱のこもった筆致でつづられ、川の源をなす姿見の池や沼の平へと話が移っていくのに、水源群のなかでここ大雪高原については言及がない。
しかし池目線でいえば、アイヌ語のいう「川がめぐる上の山の神々が遊ぶ庭」にもっともふさわしいのは、ここ大雪高原の湖沼群だと思う。
「高原温泉沼巡りコース」が設定されており、池好きには喝采したくなる環境。18の湖沼を縫って歩くコースは、白山の山頂池めぐりコースと双璧をなす充実ぶり。
ヒグマ対策に関する無料のレクチャーを受けてから入山するシステムになっており、毎日登山者を受け入れる前にスタッフが二手に分かれて全コースを巡回するなど、安全面でも万全の配慮もなされている。
登山口に温泉施設が併設。
日本遺産。
- 標高1300〜1500mの豪快な大雪高原に穿たれた山池群
- 「大雪高原温泉 沼めぐり登山コース」
- 名のついた18の山岳湖沼+α
- ビジターセンター
- 大雪高原温泉
- 大雪高原温泉登山口へのアクセス
- 大雪高原沼の地形(空撮)
- マップ
「大雪高原温泉 沼めぐり登山コース」
雪屏風を背にした標高1300〜1500mの豪快な大雪高原には、18の名前がついた池沼がある。その中でも顔役は、紅葉沼、空沼と大雪高原沼で、単に「高原沼」とも表記される。
空沼は面積としてはこれら池群で最大。
「大雪高原温泉 沼めぐり登山コース」が設定されており、沼めぐりをする際には登山口にあるヒグマ情報センターでレクチャーを受ける必要があるほか、池ごはんができる場所も緑沼、大学沼、高原沼の三ヶ所に限定されている。またコンロなどの調理はコース内では全面禁止。
コースは1周7kmで徒歩5時間。上級者以外は熊にも出くわしにくい左回り高原沼往復で4時間。入山は7:00〜13:00に限定されている。
名のついた18の山岳湖沼+α
現地のレクチャー資料に18の池の名
現地のレクチャー資料には、このコース内だけで以下の18の名前のある池が記載されている。
高原沼
絶壁の直下、標高1,470mに立地
高天原分岐
流れ込み側
動植物
鴨沼
コース上にあり池名標識あり。
トイレの沼(仮称)
緑沼のかたわら、コース上のトイレの横にある沼。
滝見沼
流れ込みに小さな段差があり、まさか滝はコレ? という印象を持ったが、じつは沼の奥の木の後ろに滝が隠れているらしい。
この沼の紅葉は絶品。
ビジターセンター
大雪高原ヒグマ情報センター
沼めぐりコースは入場時間が設定されており、入口を通るにはここでレクチャーを受ける必要がある。センターの前には24時間利用可能な駐車場とトイレ、水道がある。
沼とヒグマに関する資料展示
部屋からのドアが登山路入口になっている。ヒグマに関する資料あり。
ヒグマ出没情報
二度目に訪れた2023年8月はヒグマがコース近辺に居着いてしまったコース規制が前日に解除されたばかり。それだけにすごい熊の気配。
空撮を申請したが、このときはヒグマに刺激を与えたくないとの理由で許可はおりなかった。
環境保全寄付と「沼の本」
寄付をすると沼の本がもらえた。そのタイトルは「秘密の沼」!
大雪高原温泉
登山者用駐車場を兼ねている。
大雪高原温泉登山口へのアクセス
大雪湖から国道273へ。大雪湖のインレット側から枝道に入りダートを含め10kmほど進む。
大雪高原沼の地形(空撮)
忠別岳から雪の壁のような回廊がつづき、その崖下の森に池が点在している。