からぬま。
沼底に謎の大穴?! 毎年水が抜けて「カラ」になっちゃう沼
「大雪高原 沼めぐりコース」でもっとも遠くにあり、巨大な岩壁がファンタジーの世界のような景観の空沼(からぬま)。
その名のとおり、雪どけ水で満水になる7月初旬から秋に向けて水が抜けていき、大きな沼が本当にカラっぽになってしまう。
シーズン中は毎日視察をしているヒグマ情報センターのスタッフの方から、どこかに穴があるんじゃないかと言われている、という話を聞き、いやまさかと思いつつ調べてみると本当に丸い穴を発見!!
まるで風呂の栓のような穴に水が吸い込まれている。その大きさはちょっとしたダム穴レベル。日本中の池を見てきたが、こんなみごとな池の穴は初めてで大興奮。
大雪高原のオフィシャルガイド本にも「どこかに大きな穴があり、水が抜けていくからだと言われています」と書かれているので、まさに今、穴の特定に成功したといえそうだ。
7月初旬ごろは雪解け水で満水になり素晴らしい光景が広がるというが、穴狙いなら8月中旬ごろを狙いたい。水位が下がって、もしかしたら渦を巻いて穴に水が吸い込まれる世にも奇妙な光景が見られるかも、とワクワクしている。
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カラ沼の秘密・・まるでダム穴
渇水時でも一定の水の流入がある
水の供給源である雪渓が周囲になくなる8月下旬でも、池の流れ込み側では幅2mほどの水量で一定の水の供給が見られたものの、池の方はほぼ完全に水が抜けた状態。隣の沼は青々と水をたたえているのに、どうしてこの沼だけ? と不審に思った。
吐き出しは見あたらず
空沼は地形を見る限り池尻側は堤状の小丘に囲まれ、水の流出口(吐き出し)は見あたらない。池の底に穴があるという巡視員さんの噂話も、最初はうっそ〜と思ったが、案外、荒唐無稽なことではないのかもと思いはじめた。
ほ、ほんとに穴が写っている・・??
Googleアースの航空写真では、茶色い澪筋(みおすじ)が丸い場所に向かって収束している。
茶色い水の跡は他のどこにも通じていないので、ここから水が抜けていることは間違いない。
穴らしきものの大きさは
地図上での机上計測ではあるが、東西4m、南北3mの楕円形。
下の那須ハイランドパークの池のダム穴が直径8mほどなので、さすがにこんなに大きくはないけど。
念のため、地理院地図で確認
Googleアースとは違う航空写真だが、Googleほど明瞭ではないものの、やはり同じ位置に穴のようなものが確認できる。上のGoogleアースの写真とは逆の方角(北側)から。
穴の望遠写真
写真右下側から時計回りに澪筋(みおすじ・水の流れ)が写真右端の水たまりに向かって流れているのが分かる。
池の底に穴・・の全国事例
池の底のどこかに穴があって海と通じている、なんて伝説のような話は、淡路島の美女池や南大東島の大池などで聞いたことがあったけれど、本当に池底の穴なんてものがあるとは・・。
残念ながら穴の存在に気づいたのは北海道を去ったあとだったので、実際に近づいて観察できないのが断腸の思い。
bunbun.hatenablog.com
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どうして穴ができたのか
周辺には熱泉の湧出口が点在
穴といって思い浮かんだのが、空沼の周辺にいくつか見られた熱泉の湧出口の存在。
ヤンべ温泉の湧出孔
空沼から1kmほど下った場所の穴。
空沼の形態と景観
豪快な地すべり崖線直下に位置する
湖面標高は1460mほど。満水時には深いところで2mほどになる。この時期には登山路も一部、50センチほど水没するという。
満水の空沼(空撮)
中央右に見えるのが空沼。その左上の雪壁直下に大雪高原沼があるが雪に埋没していて湖面は見えていない(2021年7月初旬撮影)
水が抜けた状態の空沼
2023年8月末撮影。
流れ込み
南西側に流れ込みあり。
北岸側
ちょうど沼底の穴の対岸側。岩が積み重なった岸だがフラットな底は土質。
ヤンベタップ沢
沼底の穴から抜けた水は最終的にこの川に流出していると思われる。
ヤンべ温泉の湧出孔
空沼からヤンベタップ沢を1kmほど下ったところにある。90度近い熱湯と蒸気が岩岸の穴から噴き出している。
のぞき地獄
森の間から、もうもうと水蒸気が上がっている。
空沼周辺で見かけた植物