【ばんけいぬま / 空沼岳】
湖畔に山小屋も立つ桃源郷のような沼
札幌近郊で本格ハイキングが楽しめる山として人気がある空沼岳(1,251m)には、山名になっている空沼のほか、万計沼、真簾沼、ヒョウタン沼といった標高900m以上の山池群が地すべり地形の緩斜面に点在する。
万計沼は空沼岳登山コースの中ほどにあり、登山者の絶好の休憩スポット。またこの沼からの流れ出しは直下で小さな滝となり万計沢川の水源池にもなっている。
沼名の語源はアイヌ語の「パンケトー」?
万計沼(ばんけいぬま)とは何とも奇妙な名前だと思っていたが、ああ、自分で気づくべきだった。
そう、パンケトー。
北海道にはパンケトー&ペンケトーの兄弟池が道内の道東と道北にある。アイヌ語でそれぞれ「下の沼」「上の沼」という意味。
パンケトー→ばんけい沼(トー)→ばんけいぬま
なるほど。説得力のある説だ。
では上の沼は、真簾沼(まみすぬま)ということになろうか。しかし直接の通水関係はなさそうだし、「まみすぬま」と「ペンケトー」に類似性が感じられない。せめて「便毛沼(べんけぬま)」なら・・ん? なんか美しくない?
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万計沼の形態・地形・景観
大規模な地すべり地形
地すべり地形の標高910mほどの場所に立地。
湖岸
万計沼の流れ出し
万計山荘
氷河期の生き残り? 陸封オショロコマが生息
岸近くの水面にあやしい動きが見えたので、一眼レフを構えてじっと待つこと数分。動きが早いので撮影はうまくいかなかったが、10センチほどのトラウト系の魚のように見えた。あとで調べてみると、過去には学術的な研究も行われるような氷河期の遺存種オショロコマが生息していたようだ。なるほど沼の手前に滝があるので、完全な陸封環境が長い間、維持されてきたのだろう。
オショロコマはかつては北海道全域でどこにでもいる魚だったが、より大型のエゾイワナや外来系のニジマス、ブラウントラウトなどに生息域を侵され、狭く厳しい源流に追いやられつつあるそうだ。
青沼
万計沼の北東300m、標高は万計沼より20m低い900mほど。二つの沼の間に直接の通水関係はなさそう。
主登山道に分岐があり青沼を示す道標が立つ。
マップ
池さんぽマップ
登山路案内板
空沼岳とはいいながら、空沼までのルートは出ていない。ここでいう「空沼」というのは空沼岳を指す暗黙の了解があったようだ。