水辺遍路

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惣の関ため池(宮城県利府)

【そうのせきためいけ。惣の関下溜池、惣の関ダム】
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宮城県の愛? 湖面自由利用を謳う奇跡の水道水源池

「惣の関ため池」よりも「惣の関ダム」の呼び名の方が一般的になってきたかもしれない。しかし、この大好きな池を「惣の関ため池」と呼び続けたいと思う気持ちが強いのは、なぜだろう。
小さいながらも宮城県営の利府浄水場が隣接した重力コンクリート式の多目的ダム。
特筆すべきは上水道水源池でありながら、ボートや釣りなどの湖面の「自由使用」が公認されている点である。さすがに動力船こそ規制されているが、あとはダム通例の網場内の釣り禁止エリアが設定されている程度。
小規模な上水道水源池では水質悪化を防止する理由で釣り禁止、立入禁止措置がとられるケースがが全国的に一般的な中、あえて「自由使用」を謳う看板を掲げるあたりがすごすぎる。しらっと黙認とかグレーな運用という程度なら分かるが、「自由使用」までくると、宮城県の愛を越えて、反骨精神なのかと思ってしまうぐらいだ。


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惣の関ため池(2013年撮影)
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2013年、通りがかりに偶然、この池を訪れたとき、その自由で涼やかな空気に魅了された。湖畔にはボート出艇もしやすい舗装駐車場まで用意されている。
2019年の再訪ではインレット側に注目した。じつはこの池は二段のかさね池。下池の上流部に内の目橋がかかっており、その先の未舗装林道が上池(惣の関上溜池、第二ダム)に通じているはずだった。しかし鉄のゲートで道は封じられていた。また、池の西側にあたるニュータウン側からのアプローチ路も車両進入禁止となっていた。自由利用エリア以外は徹底して封鎖されている感じだ。
橋の上から湖面を眺めると、減水して陸っぱりがしやすくなった岸のあちこちに釣り人がいた。ひとり、他の釣り人から離れた場所でひとり見たことのない釣法をしている人に目が留まった。
スピニングリールを使っているが、フライフィッシングのようなキャストをしている。疑似餌を使っているようだがルアーではなさそう。かなり軽量のものだ。
そして驚くべきことに小型のブラックバスをほぼ一投一尾で釣り上げていた。カツオの一本釣りのような調子で、魚を池から引き抜く一連の流れで後ろに放り投げている。地面には息絶えたり、瀕死でぴちぴちしている中小のバスが光っていた。釣り人は別に楽しそうでもなく、ただ黙々と魚を陸揚げしていく。仕事人という感じだった。必殺駆除人?
この池でいい思い出のある釣り人には寂しさもあるだろうが、県の条例で釣り上げたブラックバスの再放流は禁止されている。自由はいつだって義務を引き連れている。
県が独自に発行している「みやぎダムめぐりカード」は2017年にリニューアルされた。

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釣り人でにぎわう
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内の目橋から見たインレット側。この奥に上池があるはず


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鯉の魚影
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内の目橋から先の道は、両岸とも通行禁止となっている。右岸側は歩行者もダメとのこと。自由とはいいつつ、けっこう厳しかったりする
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マークした場所は駐車場。