「杜の都」の台地に点在する憩いの水辺群。
仙台郊外にあたる利府には、ため池100選に選定された加瀬沼を筆頭に、なだらかな台地に立地するタイプの野池が多く見られる。これらの丘陵地はニュータウンの造成にもむいているため、宅地と農地が混在し、農業用水機能と親水機能をあわせもった水辺が多く見られるのも、仙台を含めたこのエリアの特徴である。
宮城県最大のため池でもある加瀬沼は大規模公園化されており、アプローチもしやすい。
県民の森にある池群も駐車場や遊歩道が整備されているので、ゆっくり水辺めぐりができる。かつては釣り場としても栄えたが、最近は徐々に利水目的以外の立ち入りを締め出す方向性がうかがえるだけに心配である。
掲載している利府の野池群。
- 加瀬沼（宮城県利府）★★★★ため池100選。宮城県最大。
- 惣の下溜池（宮城県利府）★★★駐車場あり。
- 菅野沢堤（宮城県利府）★★釣り人多い。
- 女ヶ沢堤（宮城県利府）スタジアム、大駐車場隣接。
- 洞ヶ沢堤（宮城県仙台）県民の森の野池群のひとつ。
- 穴ヶ沢堤（仮称）（宮城県利府）県民の森の野池群のひとつ。
- 利府中央公園の池（仮称）（宮城県利府）スタジアム隣接。
- 柚ノ木溜池（宮城県利府）利府駅から近い。
掲載している仙台の野池群
仙台市西側の郊外にはダム湖100選の釜房湖、宮床ダムを筆頭にダム形式としてもめずらしい大倉ダムなど、大小のダムやため池が見られる。
野釣り場としては月山池が素晴らしい。駐車場もあり、少し性格の違うサイカチ沼とセット攻略もできる。
山の地形もなだらかで雄大なため、これらのダム湖やため池ものびやかな景観が特徴。
都市としての美しさや住みやすさでは定評のある仙台だけあって、市街地内の水辺はどれも美しく整備され、親水機能をあわせもつものも多く、周囲の田園地帯よりも逆に釣りなどのレジャー用途にも理解がある。
- 月山池（宮城県仙台）★★★★★仙台きっての野釣り場。
- サイカチ沼（宮城県仙台）★★★★★月山池とつらなる。
- 釜房湖（宮城県仙台）★★★ダム湖100選。国営公園隣接。
- 大倉ダム（宮城県仙台）★★★全国二例だけのマルチプルアーチ。
- 宮床ダム（宮城県仙台）★★ダム湖100選。釣り場としても人気。
- 丸田沢西堤（宮城県仙台）★★★水の森公園。キャンプ場も。
- うどう沼（宮城県仙台）★★駐車場、釣りエリアあり。
- 三共堤（宮城県仙台）水の森公園。
- 与兵衛沼（宮城県仙台）★★与兵衛沼公園として整備。
- 七北田ダム（宮城県仙台）★駐車場あり。
- 大沼（宮城県仙台）震災の津波で被災。
- 赤沼（宮城県仙台）
- 第二補充貯水池（宮城県仙台）立入不可。
- 銅谷堤（宮城県仙台）立入禁止。
- 将監沼（宮城県仙台）将監風致公園。
- 大堤（宮城県仙台）鶴ヶ谷中央公園。ひょうたん沼とも。
- 泉ヶ池（宮城県仙台）七北田公園。
- 真美沢堤（宮城県仙台）駐車場、遊歩道あり。
釣り禁止措置もじわじわと。
仙台周辺の野池ではここ数年、毎年のように釣り人の水難死亡事故が発生している。どの現場もボートで沖に出るような大きな湖沼というわけではなく、周囲300m〜1km程度のいわばふつうの野池であり、驚くべきは住宅地の公園内にある周囲150mという小さな池でも死者を出している。どの事故もほぼ陸っぱりで、三名が一度に亡くなった例もある。
これらの死亡事故現場の多くは、釣り禁止、立入禁止看板やフェンス設置箇所だった。変な話だが、このこと自体は自治体にとっては胸を撫で下ろすところだったろう。もし規制看板なりフェンスなりがなかった場合、家族などから管理責任を追及され訴えられるリスクが高くなる。
一方、規制看板やフェンスを無視しての事故であれば、訴えようでもしようものなら、逆に不法侵入を逆手にとれるので法的には有利という事情が背景にある。
それにしても。
なんでもないように見える野池に、いったいどうしてそんな危険があるのか、正直なところ、やっぱりピンとこない。分からないだけに危険なのかもしれない。亡くなった人たちもまた、その瞬間になってみるまでは、微塵の疑いももっていなかったに違いない。
