死の池を思わせる白い水
栗駒山(1,626m)の山腹にある火山性の山池。湖面標高は1,290m、成因分類としては火口湖か。
登別温泉のような乳白色の湖水が強烈なオーラを放つ。この池から地獄谷までの登山道(須川コース)は硫化水素ガスの噴出帯となっており、しばしば規制がしかれる。規制がないときは登山者の休憩スポットにもなっておりリスクが懸念されているが、なだらかな山容の栗駒山の荒ぶる一面が発露したこの池は、やはり一生に一度は会ってみたい。
昭和湖の形態
昭和時代に生まれた新しい火口湖
池の由来は「昭和」の湖名のとおり、1944年(昭和19年)11月20日の水蒸気噴火で生まれた。
新しく生まれた火山活動由来の湖沼としては、明治時代の磐梯山で生まれた桧原湖(福島県)や、大正時代に百名山・焼岳で生まれた大正池などがあるが、いずれも土砂堰き止め系の池で火口湖ではない。
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構造とコンクリート堰堤
昭和湖の水がどこから来ているのかは明確ではないが、吐き出し側には明瞭な谷筋が形成されており、池尻(池の出口)にはコンクリート製の堰堤が設けられている。
水質
直線距離で2kmほどしか離れていない山麓にある須川湖(登山口にもなっている)の水は美しいコバルトブルーだが、酸性水の影響は受けているだろう。栗駒山の南麓、宮城県側にある潟沼も水が白濁しており、世界有数の強酸性湖である。
昭和湖のまわりに複数の円形の池が見られる。また、尾根側にも二つの池が見える。
しかし、本湖以外の衛星湖はいずれも水の色は白濁していない。
2022年夏に訪れた際、規制で昭和湖への登山路は封鎖されていた。一方、昭和湖の水の色は白ではなく青みがかっていた。
昭和湖の周辺に数十の池を確認
下の写真だけでも上下に20以上の池が確認できる。昭和湖の下は円形のものが多く、散発的な火口跡だろう。