水辺遍路

訪れた全国1万1,300の池やダムを独自の視点で紹介

焼石沼(岩手県奥州)

焼石岳主峰と焼石沼。一瞬、風がおさまり「逆さ焼石岳」が現れた(2022年7月)

岩手の名峰・焼石岳と同じ名を持つ筆頭の山池

岩手の名峰・焼石岳(1,547m)が抱える豊穣な山池群でも筆頭格の天然湖沼であり、主峰から見て東横綱が泉水沼ならこちらは西横綱の風格を備える。八合目とはいえ標高は1,200m台で、源流ならではの清浄な吟醸感と生き物の濃厚な息吹が混在している点も焼石沼の魅力。
イワナ、ニジマスが生息し水場も近いが、熊頻出地帯のせいかテント泊はご遠慮くださいとのこと。



 

焼石沼の立地と形態

焼石岳・東成瀬登山道の八合目にあたる標高1,245m前後の溶岩台地に立地。
ひとまわり小さな池が二つ三つ近接するが直接の通水関係はないようだ。
焼石沼からの流れ出し(スギヤチ沢)は台地の排水路のような谷を形成し沢へと合流する。



 

焼石沼の生態

陸地と湛水面の境は明瞭で陸地側はやや乾燥した草原化が進んでいる。
岸はスゲ群落や熊笹、灌木に覆われる。これらをねぐらに尺上の良型イワナが生息するが放流ものなのか素性は分からない。エサが乏しいためか痩せている個体が多い。
ブラックバスなどと違い、なぜかあまり取り沙汰されることがないが、この沼で繁殖を繰り返していると思われるニジマス(レインボートラウト)はまごうかたなき北米産の外来魚。このような高地の閉鎖的な沼にまで人の手による放流が行われた影響は小さくはないだろう。ニジマスには申し訳ないが、なるべく早く根絶することが望ましい。




 

焼石沼の周辺の池

台地の上に焼石沼をひとまわり小さくした池が二つある。そちらにもイワナが生息か。


 

アクセス

焼石沼へのアクセスは登山で。複数の登山口があるが焼石沼には東成瀬登山口が近い。登山道へのアクセス路入口は峠の西側に看板がある(下写真)


東成瀬登山口

ダート路を進んだ先のどん詰まりに駐車スペースがある。トイレはアクセス路入口近くに一ヶ所。登山口にはない。

渡渉を数回

登山口標高は940mなので焼石沼まで標高差はわずか300mほどなのだが、何度か渡渉をしながら延々と歩かねばならない。どちらかというとだらだらと下っている感じで、いっこうに標高が稼げない。実際には往復で倍ほどの高度を登り下りすることになる。



焼石長命水

焼石沼ももう近い。この水には焼石沼からしみ出てきた水も含まれていそうなだけに、持ち帰って「池の水ラーメン」を作らねば。にしても、なぜかボトルは屋久島の縄文水。屋久島のダムに行って以来、このボトルを登山用に愛用。かたさとサイズ感がいいので。


八合目 焼石沼分岐

焼石沼はこの分岐を右に進むとすぐ。




 

マップ

焼石連峰の山池さんぽマップ

ver1.2(2023年7月)北東中腹の三角沼と八郎沼を追加。
ver1.1(2022年8月)9合目の池群の位置関係を見直して高度感が伝わるようにカイゼン。
ver1.0(2022年8月)二回行ってやっと全貌が見えてきた。



Googleマップ

マークした場所は、焼石長命水(水場)。