【おの / 赤城湖、石垣沼、葛葉湖、赤城大沼】
百名山・赤城山の頂を湖水に染める盟主的な山池
赤城は、登山というより逍遥という言葉のあたる、大きなプレイ・グラウンドであって、その中心は、山上の火口湖の大沼である。それをめぐって、黒桧山(くろびやま)、地蔵岳、鈴ヶ岳の三つが、鼎(かなえ)の形に立っている。(深田久弥「日本百名山」)
赤城山頂の天然湖沼。大沼と書いて正式には「おの」と読む。岩澤正作「赤城山案内略図」には「赤城湖」の名も見られる。古くから登山、観光、レジャーで親しまれた赤城山は三つの鼎状の峰によってかたちづくられ、大沼はその三峰に囲まれるように水を湛え、導水トンネルを経て貯水池としての役割も。
上に引用した「百名山」では火口湖と記されているが誤りで、現在はカルデラ湖あるいは火口原湖とされている。
大沼の地形・形態
成因と形態
湖面標高1354mの火口原湖(カルデラの外縁部と中央火口丘にはさまれた弓状の天然湖でカルデラ湖の一種)。
周囲長4km、最大水深16.5m。
周辺地形
赤城山頂には、大沼のほかに、小沼、覚満淵、血の沼といった火口湖群があり、整備されたハイキング路を通じて水辺めぐりができる。
吐き出し(沼尾川)
大沼の北西に吐き出しにあたる沼尾川があり、小さなビーチも。このあたりの湖岸は比較的なだらか。
赤城山と大沼・小沼の池伝説
女性の願いを叶えてくれる神様として
赤城山自体が御神体とされ、さまざまな伝説が伝えられているが、最近では女性の願いを叶える神様としても知られる。
水をめぐる日光の神と赤城の山神の戦い(まんが日本昔ばなし)
赤城山の神の化身である大ムカデと、日光白根山の神である大蛇が戦場ヶ原で戦った伝説はアニメ「まんが日本昔ばなし」にも採話されている。この話の中で戦いの最中に中禅寺湖の水を投げたものが赤城山に届いて大沼、小沼となったというくだりがある。
大沼の景物・レジャー
赤城神社
東岸側には天狗の鼻のように湾曲した半島がひとつのびており、赤い橋が架けられ、まさに聖地という趣き。赤城神社が鎮座する。
キャンプ、ボート
ワカサギ釣りの名所でもあり、9月から11月までの舟釣りでシーズンインし厳寒期の氷上釣りでピークを迎える。
湖畔には駐車場、ボート乗り場、売店、キャンプ場、テニスコートなど施設が充実している。
釣りは入漁料が必要
カヤックは出艇可能だが協力金が必要
赤城大沼は河川法に基づき前橋市が包括占用許可を取得しており、「赤城大沼自然環境保全協議会(事務局:前橋市観光政策課内)」が定める赤城大沼包括占用区域における基本ルールに従い、個人の方限定でカヌー・カヤックを持ち込みで利用できます。
(「Akagi Trip」より抜粋)
www.akagi-trip.com
赤城山総合観光案内所
駐車場、トイレ、資料展示あり。
赤城大沼用水
大沼をダムに。70年たって実現したアイデア
この天然湖をそのまま貯水池として利用しようというアイデアが江戸時代末期に発案され、その思いを受け継いだ人々によって明治、大正時代を経て70年後の昭和時代に起工。
大沼頭首工から2.2kmのトンネルを経て白川取水口、そして二つの円筒分水へ。
大沼頭首工
大沼の流出河川である沼尾川への吐き出しに小さなコンクリート堰が設けられている。かたわらには電動水門付きの取水口。取り込まれた水はこのままトンネル水路へ。
トンネル出口
トンネル出口周辺の地形。
白川取水口
標高930mほどの山腹に立地。
駐車場、トイレ、吊り橋あり。
マップ
赤城山の池さんぽマップ
水辺遍路謹製。
現地案内板のマップ
Googleマップ
マークした場所は大沼用水頭首工。