水辺遍路

訪れた全国1万1,100の池やダムを独自の視点で紹介

大蔵ダム(福島県大熊)

おおぞうだむ。
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十年たっても入れず・・。これが原子力事故の現実なのか。

2016年、原発事故から五年後、なお立入規制が続く帰宅困難区域近くで、かろうじてたどり付くことができた坂下ダムはまったくの無人の中、桜が満開だった。二輪車・自転車、歩行者の通行規制が行われ、放射能汚染の傷の深さを痛感したものだった。

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この一帯には何基かのダムスペックの溜め池があり、ずっと会ってみたいと思っていたのだけれど、厳しい規制のため立ち入ることができず、ずっと手つかずの状態だった。
事故後十年の節目に、これらの池を訪れてみようと思った。
しかし・・。まさかと思ったが、まったくといっていいほど状況は変わっていなかった。あいかわらず通行できるのは幹線道路のみで、枝道はすべて封鎖されている。二輪車、歩行者は幹線道路さえ通れない。
常磐線や常磐道の全通など、復興が進んでいると思っていただけに、目の前の何も変わらぬ現実に呆然とした。
大蔵ダムは原発から1kmもない立地にあり、もっとも厳しい立入規制が敷かれていた。どこからか入れないかとグルグルまわってみたが、許可証がなければ頑丈なゲートの阻まれるだけだった。
脇道という脇道に警備員が立ち、ちょっとクルマを停めただけで警備員がとんでくる。とても池に会いに行く空気ではなかった。

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