水辺遍路

訪れた全国1万1,300の池やダムを独自の視点で紹介

霧島連峰の池さんぽ(宮崎県・鹿児島県)


百名山「霧島」に穿たれた火口湖群

「霧島山」は百名山のひとつに列せられてはいるが、現地に行くとそういう名の単独峰がないので戸惑った。地鶏や芋焼酎のブランド名で日本中でおなじみの名であるが、じつは1700mの韓国岳(からくにだけ)を主峰とする一群の火山連峰をからげて「霧島」という連山をなしている。
この山塊は航空写真で見ると蜂の巣のように円形の穴が穿たれており、そのいくつかは青い水をたたえている。まさに火口湖の巣の様相である。

天孫降臨の山々

先に主峰を韓国岳と書いたが、天孫降臨の地とされ、日本という国の起源にもあずかる高千穂峰を差し置いては昔の人には怒られるかもしれない。
高千穂峰の神々しい山容、韓国岳の荒々しさ、そして現役の活火山として噴煙盛んな新燃岳と硫黄山の荒涼をあいだに置き、変化に富んだ山歩きと湖沼めぐりができるのが、この天孫降臨の地の魅力である。
ただ、古来から火山活動が活発な場所だけに、いつもどこかしらで立ち入り規制が行われているような状態で、なかなかぜんぶの池に会うことがかなわない。
初めて訪れたときは新燃岳が、二度目のときは硫黄山の噴火による規制で入山を二度も阻まれている。

霧島噴火を報じるテレビ画面



 

霧島連山の火口湖群

えびの高原拠点の「池めぐりコース」

不動池、白紫池(びゃくしいけ)と六観音御池の三つには2時間20分で周回する「池巡り自然探勝路」が設定されており、えびの高原エコミュージアムセンターを拠点に比較的手軽な水辺めぐりハイキングが楽しめる。
ただ、不動池周辺は硫黄山の噴火活動によって2018年現在も立入規制がつづく。これは遊歩道だけでなく、県道も同じで、本来なら県道沿いにある不動池はクルマからも見ることができる手軽な池なのに、現在は近づくことができない。白紫池と六観音御池の二つへの遊歩道は規制外で往復できた。
キャンプ場、温泉ほか設備が整い、遊歩道もよく整備されているので、本格的な装備は必要ない。


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農業用水にも使われている火口湖の大幡池

深田久弥『日本百名山』には、高千穂峰をもっとも美しく眺めることができる場所は大幡山と書かれているが、この山の腹にも大幡池という火口湖がある。この池は取水門をもち灌漑にも利用されているそうだが、アプローチは東側の大幡沢登山口となる。

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観光地化され手軽な火口湖「御池」

またクルマでも行ける手軽さでいえば御池。国道沿いの展望所から池と高千穂峰を一望できるのはうれしい。ここはまた、ボートや釣りもできる観光化された池でもある。

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日本一高い場所にある火口湖、大浪池

大浪池の水面は標高1,239mにあり、火口湖としては日本一のハイレイク。
県道沿いに大浪池登山口があるが、駐車スペースはそれほど多くはないのですぐにいっぱいになる。トイレは設置されており、池までは往復1時間ほど。登山装備は必要ないが、延々とつづく階段はなかなかしんどい。
池を半周した先は韓国岳頂上へと通じており、本格装備のハイカーは上をめざす。

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マップ

池さんぽマップ

2023年7月にver.3.0に更新。ベースの水彩画は拙著『日本全国 池さんぽ』に採用したものを使用。



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