水辺遍路

訪れた全国1万1,300の池やダムを独自の視点で紹介

大浪池(鹿児島県霧島)

おおなみのいけ。

山頂火口湖としては日本一の大きさ

霧島えびの高原の火口湖群のひとつ。
霧島連山でもハイカーのあいだで屈指の人気を誇る韓国岳(からくにだけ)。そこに寄り添うようにたたずむ直径630mの火口湖が大浪池。
池の湖面標高は1,239m、最大水深12m
そして2kmもの湖周長は山頂湖および山頂火口湖として日本一の大きさ
こんな大浪池だが、会うためには、ちょっとばかり気合が必要。

というのも登山口から1.2kmのハイキングコースの行程のほとんどは石段状。よく整備されていて歩きやすいとはいえ、眺望なく延々とつづく1kmもの階段を想像してほしい。甘く見て大型の重い撮影機材を肩にかけて登りはじめて後悔。うつむいて一段一段、カッパの中は大汗。人生でもっとも長く感じた1.2kmだった。その分、韓国岳を従えた大浪池と対面できたときの喜びは格別。

現地の看板によると、もともとこのあたりの火口湖全般の呼称として「大浪の池」という言葉が使われていたということだが、お釜状の地形で風の影響を受けにくいはずの火口湖が「大浪(おおなみ)」というのも不思議な話である。
ちょうど読んでいた本のなかで、地名における「浪」という文字は、津波を警告する昔の人からのメッセージという話もあり、火口湖の外輪山が決壊して山津波が起こったのか、あるいは火の津波ともいえる火砕流を指した警告なのか、そんなことを考えたが、別の案内板には池に身を投じた女性「お浪さん(おなみさん)」の民話にちなむと記されていた。
韓国岳周辺は火山活動が2015年暮れから活発化し、大浪池を訪れるハイカーの半数ほどはヘルメットを着用していて感心した。2017年の秋、新たに新燃岳の噴火によって大浪池への登山路は規制で入れない状態になっていた。

池の西側の二車線道路沿いにトイレと駐車スペースがありますが、台数が少ないのですぐにいっぱいになってしまうのがネックです。


案内板など。


マークした場所は駐車スペース(トイレあり)

地名は警告する―日本の災害と地名

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  • 冨山房インターナショナル
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