水辺遍路

訪れた1万以上の池やダムを掲載

乗鞍岳 権現池(岐阜県高山)


権現池の地形と形態(空撮)

火口壁に囲まれた火口湖

西側の縁が低く決壊口と思われる。池は底が見えるほど浅かったが、多少の水位の上下はありそうだった。



五ノ池とのツーショット

カルデラ湖の島に火口湖があったような時代もあったのだろうかと夢想させる一枚。


 

乗鞍岳の湖沼群

毎年のように訪れて図絵作成のための調査を続けているが、何とも奥深いエリア。

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自転車+徒歩でのアタック(大失敗談)

チャンスは一年でもわずか

この池に行くために、一ヶ月以上前から機会を伺ってきた。万年雪から顔を出すのは夏のわずかな時期だけ。しかも確実に晴れるタイミングを狙わない限り、下界と隔絶されたこの至高の池にお目にかかることはできない。山岳天気予報をにらみながら一ヶ月。下界は晴れていても、乗鞍に完全な晴れマークを見ることができぬまま八月が終わった。九月前半は台風でむなしく日数だけが過ぎていく。そして、やっとその日はやって来た。前の日も後ろの日もだめ。その日だけという一日、しかも午前の一発勝負。午後は雲が出る予報。

午前二時。マイカー規制ゲートの手前にある無料駐車場にハイエースで到着。
ライトを持って外に出る。襲いかかってきそうなほどの満天の星。期待が持てそうだ。ゲートの看板をライトで照らすと午前四時三〇分開門と記されている。ハイエースに戻り仮眠をとる。三〇分もすると寒くて身動きできないほどだった。


 

マイカー規制の乗鞍スカイラインをチャリでアタック

午前四時。ハイエースからマウンテンバイクを出し、準備をはじめる。
マイカー規制のため一般車両は入ることのできない乗鞍スカイラインだが、自転車は無料で通行できる。寒い。Tシャツの上に長袖を二枚。
あたりはまだ真っ暗だが星が見えなくなっていた。薄雲がかかっているようだ。
とりあえず分かっているのは、鶴ヶ池のある畳平がスカイラインの終点。そこから先の権現池までは自転車で進めるのか、なんせ初めてなので上の状況がよく分からない。自転車で行けないところかもしれない。登山の必要に迫られる可能性も考慮して、バックパックには水2リットルと撮影機材、カッパの上下を入れた。シューズは山歩きもできるトレイルランニング用。熊よけの鈴も忘れずに。
午前四時半、ゲートを通過して走りはじめる。ゲートキーパーのおじさんの言うには、このところ熊は出ていないという。
ここから14km、高低差1000mほどを駆けのぼる。
というと聞こえはいいが、実際は平均勾配8パーセントの14kmは生やさしいものではなく、よろよろと進む。1kmが長すぎるほど長い。
一時間ほど走ると明るくなってきた。ライトを消す。

森林限界を越え、樹木の背が低くなってくるころには、足に力が入らなくなってきた。背中の荷物が重すぎる。腰も痛い。頭が朦朧としている。高山病だろうか。
標高2500mを越えると風が猛烈になってきた。吠えるような風音が霧を巻き上げる。右から左から、前から後ろから、咆哮する魔王のように雲が乱れ飛ぶ。

苦しい九十九折りを抜けると、傾斜が緩やかになり風もおさまった。さっきの場所は山の形状のせいで気流が乱れるらしい。今は高原のようななだらかな景観とともに、霧が晴れ陽光があたりを緑と青に染めあげた。乗鞍スカイラインの終点、鶴ヶ池が目の前にあった。



 

鶴ヶ池以外の池へは徒歩での登山で

畳平(鶴ヶ池)の駐車場はシャトルバスの終点で、山荘がいくつか並んでいる。マイカー規制で広い駐車場にクルマは一台もいない。

トイレのある建物裏に自転車用のスタンドが4台分設置されていた。案内板を見ると、鶴ヶ池はともかく、他の池は徒歩で行くしかないようだ。

いちばん近いのは亀ヶ池。これは駐車場から魔王岳に向かう登山道を五分ほど歩くだけで見えた。

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次に向かったのは不消ヶ池。主となる剣ヶ峰への登山道を歩くのだが、許可車両が走る道でもあるのでフラットで歩きやすい。15分も歩けば右手に不消ヶ池が見えてくる。

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池に気をとられ、メインルートをはずれる

不消ヶ池にばかり気をとられて、主峰・剣ヶ峰とは違う登山ルートに入ってしまい摩利支天岳の山頂まで歩いてしまったが、おかげで不肖ヶ池、鶴ヶ池、亀ヶ池の三つを一会に見渡せる場所を見つけることができたし、それまで見えなかった主峰・剣ヶ峰から肩ノ小屋までを一望することができたので、おおよその地理関係を把握することができた。


 

権現池が見つからない

分岐点まで戻り、ぐるりと摩利支天岳の裏側にまわり、さきほど眼下に見えていた肩ノ小屋に着いた。周辺を探しまわるが、最終目的池の権現池が見あたらない。
山小屋でソフトクリームを買って、店番の金髪青年に権現池は歩いて行けるのかと訊ねてみたが、よく分からない、という返事だった。
とりあえず行けるところは剣ヶ峰しかないので、歩きはじめるが、ここからは石がごろごろした急坂で、やっと登山らしい登山になる。撮影のためファインダーをのぞくとき、息をとめる癖があるのだが、そのとき吐き気がするのを覚えた。水を飲むときも息をとめる。やっぱり吐き気がする。ふだんならさくさく登れるような一歩一歩が信じられぬぐらい重い。初体験ではあるが、どうやらこれが高山病らしい。
先を見ると岩肌がむきだしの峰峰があるだけで、どう見てもこの先、池があるようには思えない。天下の百名山だろうが何だろうが、池という希望の光がないことには、正直、登山なんてやっていられない。山小屋の西側に水が涸れたような池跡らしきものがあったので、これが権現池だろうかと思って撮影し下山した。歩いた距離は8kmだった。


 

権現池は主峰を制した者にのみ、ベールを脱ぐ

剣ヶ峰の裏側に目的の権現池があり、上まで登れば見えたということを知ったのは下山してからだった。山の構造をいまひとつ理解しないままアタックしたことが敗因である。それにチャリ+登山では装備に制限がある。次はバスで畳平までアプローチしようと思う。



 

Googleマップ

マークした場所はシャトルバス終点の畳平(鶴ヶ池)駐車場。