水辺遍路

訪れた全国1万1,300の池やダムを独自の視点で紹介

白山の山池群(石川県白山)

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日本最西端の高山伽藍にある池群

日本百名山どころか富士、立山とならび日本三名山とも称せられる白山。『日本百名山』の作者である深田久弥氏にとっても子どものときから仰ぎみた故郷(ふるさと)の山であり、特別な思いがつまった山だったようだ。
北陸という立地ながら、じつは日本最西端の高山だったりする。北海道最北の利尻岳から始まる「百名山」が、ここ白山に至るのはじつに87番目。あと十いくつかで近畿、中国、四国、九州を駆け下る。そのぐらい日本列島はこと高い山については偏りがあることに気付かされる。
標高2600〜2700mの山頂部には、乗鞍や御嶽に比肩する山岳大伽藍を構え、峰々のあいだには色とりどりの火口湖が空を映じて風にまたたき、みごとというほかない。
白山というだけあって一年の多くは雪をいただき、万年雪に封じ込められた池もある。

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白山の山頂。色とりどりの池と峰々が山頂伽藍を構成


 

新旧、大小の火口が個性的な池に

最後の噴火は1659年。1554年の噴火では翠ヶ池が噴火口となったと推定されている。
植物の生育環境は厳しく、年間数ミリしか成長できないため、いまだ噴火時の火砕流による岩滓がむきだしの場所も多い。
池ごとに色が違うのは、溶け込んでいる硫黄分の濃度や水深、峰との位置関係など、さまざまな要因と偶然性があいまった自然の差配の妙であろう。

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翠ヶ池


「百名山」で味わう白山の山池

匐松(はいまつ)と高山植物に覆われた頂上には幾つかの旧火口があって、そこには紺青の水が湛えられ、それに配する雪渓や岩の布置が、天然の庭園のような趣である。
(深田久弥『日本百名山』)


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紺屋ヶ池


 

「山頂お池めぐり」の七池

標高2,550m前後に七つの名の付いた池があり「山頂お池めぐり」という絶景コースが設定されている。

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千蛇ヶ池

火口湖が万年雪の雪渓になかば埋もれた状態になっており、この池には1300年前、白山開山の祖・泰澄上人が封印した千尾の大蛇がいるという。

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翠ヶ池

ビジュアル的にはこの池が七池の代表格。しかしこの池だけ石川県ではなく岐阜県の所属。

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紺屋ヶ池

岩を積み上げたような剣ヶ峰を従えたエメラルドの瞳。

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油ヶ池

七つの池の中では唯一、褐色の水をたたえている。

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血ノ池

水は赤くない。むしろウグイス色。

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五色池・百姓池

主コースから少しはずれたところにある小さな池。

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コース案内

山小屋のある室堂を起点に、山頂にある山岳大伽藍にちりばめられた池たちをめぐる一周3.8km、徒歩2時間の絶景コース。

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案内板
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山腹から山麓にかけての池

殿ヶ池

白山からのびる尾根上の池。避難小屋あり。

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御手洗池

この池は白山からのびる両白山地の稜線上にあるが、微妙に岐阜県側に位置する。

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室堂平の池塘

主峰・御前岳から沢筋が来ており水源か。

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空から見た白山の山池

下側の白い池が千蛇ヶ池。空から見ると火口湖群であることがよく分かる。

空撮

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山頂の七池ぜんぶ入り

ピックアップ

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山頂伽藍のパノラマ

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アクセス

お池めぐりの起点となる室堂までは、おもに石川県側からの登山路と岐阜県側からの登山路の二つがある。
ともに登山口に駐車場あり。

石川県側の登山口(別当出合)

別当出合にマイカー駐車場はあるものの、ハイシーズンにはマイカー規制となるためシャトルバス利用が必須となる。
別当出合登山口から観光新道で室堂まで6時間半。

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岐阜県側の登山口(平瀬道)

白水湖(大白川ダム)が平瀬道登山口となっており、シーズンは朝早くに駐車場が埋まる。
室堂で山小屋泊せずに日帰りの強行軍でお池めぐりをするなら、比較的登山者の少ない平瀬道がいいと思う。それでもお池めぐり込みで往復8〜10時間ほど。

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白山の山池めぐりマップ

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刈込池マップ(水辺遍路謹製)
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Google マップ


 

写真アーカイブス

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