かすみがいけ。
天下に轟く名勝・兼六園の池群のひとつ。
水の庭園ともいえる兼六園の中央に位置し、堂々たる風格をまとった主役格の池である。
池畔には町なみの向こうに日本海までも見わたせる眺望台がある。まるで空中庭園池のような立地だ。
辰巳用水の流れ込む上段の池を介し、園内の斜面をたゆたうように走る水路が、焦らすように南から北へと池を迂回するように流れ込み、西側の吐き出しから流れ出した水は、その高低差をたくみに生かし、下段では瓢池へ注ぎ込む滝となり、噴水池で水を3mほどの高さに迸らせる。
唐崎松が庇のようにせり出す池の水深は1.5mもあり、一方で蓬莱島(亀甲島)を浮かべる。
私事で恐縮だが、人気の場所が苦手でいつも素通りしてきた兼六園の池群にやっと会えたのは、妻の両親を思い出の池に連れていくミッションのおかげ。
昭和の高度成長期には新婚さんであふれ、この池の撮影スポットでは記念撮影を待つ行列に並んだものだという思い出を今に再現すべく、同じ立ち位置で撮影。昔の写真の方は東京オリンピックが開催された1964年だったというから、二つの東京オリンピックをまたぐ半世紀以上もの時の流れなどまったく意に介さぬように、霞ヶ池は昔と変わらぬ姿で広がっていた。