水辺遍路

訪れた全国1万1,300の池やダムを独自の視点で紹介

小立野口の池(仮称)(石川県金沢)

こだつのぐちのいけ(仮称)
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天下に轟く名勝・兼六園の池群のひとつ。
兼六園の南側の出入口である小立野口(こだつのぐち)のかたわらに、木々に囲まれてひっそりとたたずむ。園外からの用水の流入口と思われる流れ込みがあり、他の池や堀に引き込む水がこの池から分水されているとも考えられる立地だが、水質はけっこうマディーだった。
兼六園内では池だけでなく池を結ぶ用水路にも注目したい。美しい用水のたたずまいは、さすが加賀百万石。水は11kmも離れた犀川上流から4kmのトンネルを含む用水路として引かれていると聞けばさらに驚く。
「100の診療所よりも1本の用水路を」が信条だった中村医師が生涯、アフガンで開削に携わった用水路は27km。その用水は、なんと現地の65万人もの暮らしを支えているそうだ。日本では何十万キロにも及ぶ用水路が、ほとんど誰にも意識されずに草に埋もれながら池と田畑や町を結んでいる。
さて、この池では水面下に沈む枡形のコンクリート構造物が、どういった役割のものなのか気になった。洪水吐の一種だとは思うが池の規模に対してひときわ大きく、また水没しているのが常態のようだ。
この池の水が園内の用水路を経て主役格の霞ヶ池、瓢池へと水が流れ下っていくことと、一見マディーな水質をあわせ考えると、水没コンクリート升は、11km先から引っぱってきた辰巳用水の濁り成分をこの池で沈澱させ、上澄みのきれいなところを園内へと送り出す役割なのかなと想像した。


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水辺遍路謹製マップ(ver.1.0)


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池への流れ込み。辰巳用水からの流入口か


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さまざまな表情で園内を流れる辰巳用水
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兼六園の案内マップ