浄土真宗の祖・親鸞聖人が七年間の流罪ののち朝廷から許され、関東に向けて念仏布教へと旅立つ決意をする。別れを惜しむ土地の人々に、この池に自分の姿を写し、木彫りの自画像を造って餞別にしたという伝説が残る。
現在の池は市街地の二車線道路沿いに小公園の形で保存されている。赤いデッキがユニークだが、それ以外はベンチと案内板があるぐらいで、池自体はコンクリート垂直護岸と土むき出しの掘り込み岸で、ちょっと不思議な町池といったたたずまい。
鏡ヶ池という名の池は全国に点在し、池に姿を映す池伝説をまとうものが多い一方、ほとんどは女性で男性という例はレアだろう。
また、空海の池伝説には派手な立ちまわりの話が多いが、親鸞の池伝説はどこか控えめで現実的。
いざ関東へ旅だった親鸞が、その道中に念仏を唱えるや池の底が湧き動いたという念仏池が長野県戸隠にある。湧水の池なので底が湧き動くこと自体は、ぜんぜんありえないことではない。