鬱蒼とした森の中にたたずむ蛇嫁伝説の池
長野県上松町は新大関・御嶽海のふるさと。
ここ上松の御嶽山をのぞむ木曽駒ヶ岳に抱えられた森の中に、何とも神秘的な池があるという話を地元の方からおしえてもらった。
上松町在住でシンガハタの池と隕石湖のロマンを追いつづけているテイルケープ氏である。確かに上松町の観光情報にもわずかに「蛇嫁の伝説」がある池として情報が出ていた。ただ、正確な位置がいまひとつ分からない。
2021年の初回アタックは木曽駒ヶ岳の登山道まで足を踏み入れたが到達できなかった。この際、細かく空撮写真を撮っておいたところ、のちにテイルケープ氏に正確な位置について特定してもらうことができた。2022年3月に雪を心配しつつ再アタック。
この年の木曽は豪雪だったということだった。
池伝説における「水乞い型」
古池に伝わる蛇嫁の伝説は、雨乞いのために庄屋の娘が池ヌシの蛇に嫁ぐ約束をする構成で、蛇婿入譚のうち水乞い型の分類に入る。
蛇の嫁入り伝説。「蛇姫様の池」とも。
池の地形
二つ三つの小さな谷筋が合流するくぼ地に立地。木々に囲まれ航空写真などでは湖面を確認できず、全体的に底が見えるほど浅いが、魚類が定着している様子がうかがえたので、水が涸れることないと思われる。
また水位の増減も大きくはないが、これは後述する人工の排水路によるところも大きい。
吐き出し
吐き出しには石で護岸された水路が設けられている。
その下は道で、排水用のグレーチングが見える。たえず水が流出していることから一定量の流入があると思われる。
流れ込み
流れ込み側はワンド状になっており、明瞭な谷筋からの流入が見られた。ただ、池の中央部に比べて水が黒く見える。通常は砂礫と清水の流入で白く見えることが多いのだが。これは主たる水源が池底の湧水にある可能性を示唆するものかも。
工作物
池岸の道路側に案内板がある。ここには木道状の足場が設けられており、池の汀へと通じている。よく見ると石造りの水受けと塩ビパイプの吐出口があり、水汲み場だったようだ。ただ、訪れた際は水は出ていなかった。
湧水口?
池の中央に、まるで神域のように、まるく池底が窪んだところが。この部分は水の透明度が高い。
池底の一部に巨石
池底のほとんどは土砂と腐敗植物だが一部に巨石が見られた。
池の景観
吐き出し側に立ち枯れの巨木があり、その足もとには若木が島を作っていた。
生息魚類
池へのファーストコンタクトは遠巻きにそおっと近づいたつもりだったが、鋭く斬り込むような引き波が水面を揺らした。体長20センチ以上の魚がいるらしい。
警戒心が強く、しばらく待ってもなかなか姿を見せない。木の影に隠れて半時ばかり、再び水面が動きだした。
なんと10〜20尾の魚群がスクール。体調は5〜10センチ。魚種は不明。
もうしばらく待つと、中央の神域のようなくぼみから、ちらっと黒いものが。レンズを向けた瞬間、跳び出すように逃げだした。ぎりぎりカメラは魚体を捉えていた。みごとなイワナだった。
古池へのアクセス
滑川砂防公園をめざして林道で木曽駒ヶ岳を上る。このあたりは木曽駒ヶ岳の玄人向けの裏登山ルートになっていて、案内板や道標、駐車スペースも各所に設けられている。
古池へのアプローチ路の入口は滑川砂防公園の直下にあるので、クルマを駐車してここからは徒歩で。初回アタック時はゲートが閉じていたため入らなかったが、この道がアクセス路なので今回は強気で行くつもりでいたがゲートは開いており、池までは除雪までされていた。
調査資料
敬神の滝と木曽駒ヶ岳への登山路
休憩所、案内板あり。歩いてみて池がありそうな地形に思えなかったので引き返した。
空撮
木曽駒ヶ岳の池さんぽマップ
駒ヶ根側から。上松側はこの図の駒ヶ岳の裏面にあたる。
Googleマップ
マークした場所はゲート前の駐車スペース。