東山魁夷の名画「沼」をインスパイア
飯縄山西麓の戸隠高原の北はずれの森の中にあり、古池という名前ではあるが人工池である。もとは標高は1217mの湿地帯だったというが、中部電力の水力発電用貯水池として堰堤と導水路が築かれて今の姿になった。
そんなわけでハイカーにとって古池は黒姫山の登山道の途中で出会う休憩スポットであるが、じつは一般通行禁止の管理用道路が池まで敷設されており、山奥の池のように見えて余裕で重機も入れるのだ。
山奥の天然池に見えるが、じつは発電用人工池
2018年に空撮で全貌を捉えることに成功。2020年夏に黒姫山登山口から徒歩で到達。登山口から20分も見ておけばじゅうぶんだろう。木道も敷設されて足場はよい。このとき工事で水抜き状態の池に会えた。2018年とはうって変わって水はなく、一面の草原になっていた。
池の一辺に170mのコンクリート護岸が森を直線的に断ち切っている。一方、ゆるやかな斜面となって黒姫山につらなる草地の岸は園地のような様相で春にはミズバショウやミツガシワが咲く。
200mほど離れて種池もあり、そちらは古来から今もなお神事もとり行われる天然の池。
東山魁夷は人工池が好き?
東山魁夷が絵のモデルにした池としては、「緑響く」御射鹿池(みしゃかいけ・長野県)があまりに有名だが、じつはここ古池のミツガシワも「沼」という作品のインスピレーションのもとになった池としてご本人がインタビューに答えている。
ほか東山魁夷は同県の希望湖(沼の池 / 長野県)もモデルにして「静映」を描いた。
これら三つの池は池視点で見れば、いずれも人造湖だったりする。東山ブルーで静謐な自然の湖水を描くイメージが強いが、じつは東山魁夷は人工池が好き?
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古池の堰堤
なかなか味わい深いものがある。
古池の意外な素顔
古池の古い顔
流れ込みと、池畔にあった古い祠。
堰堤を造る前から湿原の中に池があったのだろう。
工事標識