水辺遍路

訪れた全国1万1,450の池やダムを独自の視点で紹介

仙石原グッピー池(仮称)(神奈川県箱根)


標高660mの箱根山上に熱帯魚「グッピー」が生息する池が!

箱根・伊豆方面の池にくわしい方から、箱根の仙石原高原にグッピーが生息する不思議な池があるとの情報をいただき、さっそく現地へ赴いたのが2020年晩秋。
標高の高い箱根にあって、熱帯魚が生息するだけの温水がどこから流れ込んでいるのか、はたまた、どんな成り立ちの池なのか、現地に行ってもてんで分からず謎は深まるばかり。
一度は雪の積もる厳冬期に再調査してみたいと思っているが、なかなか叶わず。とりあえず2022年12月に再訪問したところ、グッピーたちは元気に泳いでいた。同時にモツゴといった日本産淡水魚の生息も確認。水からは湯気が立ち上っていた。

 

池の立地と水源

標高660mの仙石原高原に立地

芦ノ湖から流れ出す早川が高原をうねるように縦走するそのかたわらに複数の池が地図に記載されている。このあたりはゴルフ場が広がっており、ゴルフ場の池も複数あるが、この池に関してはゴルフ場外となっている。

近くには温泉水を貯める特殊な池

近辺で目を引くのはイタリ池。箱根の温泉水を貯めるための特殊な池だが、温泉水といってもアッツアツではなく、かつて草魚を放流したとの話もある。
国土地理院の地図で見ると、イタリ池から細い流れ込みが早川に合流している。温水が混入しているとしたら、まずこの線を疑いたくなるが、グッピー池とは1.5kmも離れている。

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早川と浄水場

早川をはさんで東側100mほどのところにある浄水場があるが、池に対して下流側なので温水の要因としては考えにくい。
また浄水場の南には仙石原プリンスホテルをはじめ温泉ホテル街が広がる。池から見ると上流にあたり、むむむ、これはもしかしてこれらの排水の可能性は?

早川と仙石原



 

池の形態

周囲長100〜200mの二つの池で構成

雑木林に囲まれた池の周囲長は200mほどもあり思ったより大きい。水路でつながった上下の二つの池で構成されている。
写真は下の池から沢への吐口。


下の池

グッピーや錦鯉が見られるのはこちらの池。


人工要素

一見、天然の池のようにも見えるが、大岩などを配してそれらしく見せた人工池の可能性も。池底は全体的に見渡せるほど浅く、池の岸の一部は散策路のように整地されており、「あぶない」の看板もあり、一応、人が来ることを想定しているようだ。かつては何らかの施設の庭園池だった可能性もありそう。


吐き出し。早川との接続部。人工感がある。

流出水路

池から吐き出される水路の水も触ってみると冬でも温かかった。


上の池

湯気が立つ池頭

上の池頭に明瞭な流入水路は確認できなかったが、水温が高いらしく下写真のように湯気が立っていた。

池頭側から

堤側は石組み、他は自然護岸

池尻側に魚影

上の池では水温が低くなる池尻側で小型魚の魚影が見られた。



 

魚影

水温が高いためか苔がよく生えていて緑の絨毯を敷き詰めたような池底が広がっている。

おおお・・グッピーの楽園

グッピー以外の魚も。コイと日本産淡水魚か


 

熱帯魚が生息する池の全国事例

熱帯魚が生息する池や川は全国で散見される。
沖縄、八重山諸島、奄美群島ではティラピアという熱帯魚が公園池や川でふつうに見られるし、本土や四国でも工場排水などの温液によって生息環境が維持されるケースもあった。
熊本の市街地にある江津湖は年間を通して水温が一定で熱帯魚も生息しているとのこと。
極端な例では、北海道三大秘湖の奥にあるオンネトー湯滝の池のように天然の温泉水が混入し、グッピーの生息に適した水温が保たれたものもある。(現在はグッピーは駆除されている)

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空撮

左側から奥にかけての山は金時山などカルデラ外輪山。右側は早川
早川と池群


 

アクセス

池へのアクセスはダート路。2020年ではオートバイでも問題なかったが、2022年にはアクセス路入口のところにクルマ止めが新たに設置されていた。
「この先、一般車両の進入はご遠慮ください」とのこと。設置者は箱根町観光課。



 

マップ

箱根の池さんぽマップ

ver.1.1に更新(2022年12月)

Google マップ

マークした場所はアプローチ路入口。