観光的ではないところで、じつはおもしろい芦ノ湖
日本の代表的湖沼23のひとつであり世界屈指の観光地でもある芦ノ湖は、「観光的ではない」ところでじつはけっこうツッコミどころがある。
まずこれだけ大きな湖なのに、めぼしき流入河川がない。しかも流出河川の早川も含めて神奈川県に位置するのに、芦ノ湖の水を使っているのはトンネルで水を引く静岡県。そんなこと普通はあり得ない。
成因については箱根町HPやウィキペディアではカルデラ湖、ほか火口湖、火口原湖などいろいろな記述が見つかる。でもどうやらどれもハズレらしい。
英語表記も「Lake Ashi」という看板もあれば、辞書では「Ashinoko Lake」だったり、どっちやねん。そもそも「Lake Ashi」だと「芦湖」になっちゃう。これでよしとしたら、八ヶ岳なんて「Mt. 8(マウント・ヤツ)」に。大丈夫か。
カルデラ湖? 火口原湖? それとも・・
成因としては、箱根カルデラの中に位置するもののカルデラ湖ではなく、火山活動に起因した堰き止め湖というのが正解らしい。湖が生まれた直接の原因が、火砕流がもたらした火山性堆積物によって早川の一部が堰き止められたため。もし早川ができる前に芦ノ湖ができていれば、カルデラ湖ってことになるのだろう。
水門のある湖尻側から見ると、堆積物が天然のアースダムを形成しているのがよく分かる。湖岸のほとんどは山が迫るが、この天然堰体の下だけは仙石原高原が広がり、土地の多くは観光用に開発されている。
江戸時代に山をブチ抜いて通水した芦ノ湖ダム
芦ノ湖の水は江戸時代に掘削されたトンネルで外輪山を抜けて静岡県側に至る深良用水を通じて利水されており、ダム湖の役割も担っている。
利水事情については深良水門についての別ページに詳述した。
湖周長20km級の天然湖でも法律上は二級河川
インレットは明瞭ではないが元箱根エリアがそれにあたり、反対側の湖尻が吐き出し側となり、湖尻水門を経て早川へと通じる。早川が二級河川であるため、河川法の区分ではこの巨大な芦ノ湖も二級河川に属することになる。
水源のほとんどは湖底からの湧水で、箱根港の流れ込みなど小さなものをのぞけば、おもだった流入河川はない。
芦ノ湖のビュースポット
箱根一本桜
元箱根と湖尻の中間あたりの箱根園に、箱根一本桜はある。種類はオオシマザクラで麓の小田原よりも開花期はかなり遅い。実際には一本ザクラではなく、五本の幹を束ねたもの。
芦ノ湖の地形
中央火口丘の駒ヶ岳から俯瞰
湖畔の箱根園からロープウェイで山頂に出れば、眼下に芦ノ湖を一望。おまけに駿河湾、相模湾とともに三つ巴の芦ノ湖も。
外輪山の大観山から俯瞰
湖頭の箱根港側からの芦ノ湖のほぼ全景を俯瞰。クルマで展望所まで行ける。
駐車場、ドライブインあり。
外輪山の明星ヶ岳から俯瞰
下の写真では芦ノ湖は見えていないが、左側の中央火口丘の裏に隠れている。
芦ノ湖から流れ出した早川が火口原台地から下る様子がよく分かるアングルだった。下の町は宮城野。
ブラックバスが日本で初めて放流された湖
富士山の絶景が得られる避暑地として早くから観光の開発が行われたことから、日光の中禅寺湖と並び世界的な観光地となった。
釣りの対象魚はブラックバス、トラウト類、へらぶな、鯉など。大正時代、ブラックバスが日本で初めて放流された聖地だけあって、100年近くが経過し、日本各地でバスバッシングと駆除根絶が吹き荒れる逆境下にあっても、地元漁協がオオクチバスの漁業権を有し、放流と増殖に努めている。
この湖のルアーフィッシングにおいてはワーム禁止のローカルルールもある。湖畔にはコンビニやレストラン、温泉などの施設に事欠かず、貸ボート店もある。
マイボートの場合、箱根港側の県営の無料駐車場からカヤック出艇ポイントまで50mほど。芦ノ湖ではカヤックなどを浮かべるには500円必要。駐車場から見て山側に入船申し込みをする建物がある。釣りをするためには、さらに入漁料も必要。SUPは禁止。
旅館と地酒
「芦ノ湖」の名を冠した地酒があった。
芦ノ湖の水辺動画
マップ
箱根の池さんぽマップ
20223年12月更新(ver.1.2)←2022年12月公開(ver1.1)
Googleマップ
マークした場所はカヤック出艇ポイント。駐車場あり。