光の当たらぬ池にどうも熱がこもってしまい、池ジャンルの中でも人気という意味で一人勝ちに近いダムについては、少々、冷淡だったことを最近になって反省している。20代のころはダムというだけでスルー。こじんまりとした里池を偏愛していた。
それでも気が付けば訪れたダムは1800基となった。1800基目は、光が当たっていないレアモノの離島ダムを紹介したい。
環礁のようにカルデラ外輪山と中央火口丘の三つの島で構成される島前(どうぜん)と、円形の島後島(どうご)の合わせて四つの島からなる隠岐島。
島前に属する西ノ島には、美田ダムという島の生活を支える立派な多目的ダムがあるが、じつは上水道水源として島の東半分を担っている貯水池がある。
モンキーをくり出して乗りこんでみたら、なんと。
砂防堰堤タイプのコンクリートダムの天端に二枚のプレートが嵌め込まれていて、昭和の日付の一枚は堤高15m、平成の日付の一枚には堤高17mとあるではないか。
水源は美田ダムと同じ焼火山と大山で、しかも所在地も同じ「美田」のため、このダムの名を見つけるのに少々、苦労した。
ダム下にある浄水施設に「大山浄水場」と銘打たれていたので、「大山ダム」と目星をつけて調べていたところ、このダム名を記した島の広報誌が見つかり特定できた。
ダム下には大山の火山活動についての案内板がある。目の前の海は、大昔は巨大な湖(カルデラ湖?)だったようだ。マグマで湖の地層が焼かれた痕跡が残っているという。ロストレイクの上にできたダムということになる。