奥箱根温泉に配湯される合成温泉の水源。
毎年秋になるとススキの原野が季節のたよりとしてメディアにとりあげられる仙石原は、芦ノ湖と箱根外輪山とのあいだに広がる高原。その中央にイタリ湿原があったが昭和の初めに温泉用の水源としてイタリ池が整備された。
温泉といえば地下からお湯が湧き出てくるイメージが一般的だが、箱根の温泉施設の多くは噴出する蒸気と水をまぜて合成した人工温泉で、各施設は水道のような感じで温泉供給会社が設置した配管を通じて温泉水を引いている。
イタリ池に貯まった原水は2.5km離れた箱根ロープウェー大涌谷駅近くの貯水池までポンプで引き上げられる。航空写真で見るとロープウェー路線沿いに貯水池が確認できるが、おそらくこれがそうであろう。かつては大涌谷駅前に「3号池」という温泉水用の貯水池があったが、2013年に埋め立てられて現在は観光バス用の駐車場になっている。3号池というぐらいだから、どこかに1号池と2号池があるはずだ。上記の池が1号か2号か。しかし、他にもうひとつあるはずの池が見あたらない。あるいはイタリ池を1号池と呼ぶのだろうか。
とにかく、この水は大涌谷の蒸気井で噴出するガスと合成され「造成泉」という温泉水が生産され、温泉施設に配されているのである。
イタリ池は現在、ゴルフ場の施設内にあり一般は立ち入ることができない。イタリ池を見るなら東岸の高台にある箱根イタリ亭というレストランか、ぐるっとまわって西側の長尾峠からがおすすめである。
この池を管理するのは、箱年温泉供給株式会社。同社のホームページに箱根の温泉街に供給される温泉水の製造過程を見ることができて、じつに興味深い。
また、イタリ池では1973年に除草目的でソウギョが放流された実績がある。
イタリ亭側からのイタリ池。
長尾峠側から。左側が仙石原、右が芦ノ湖、中央がイタリ池。その上には噴煙を上げる大涌谷が見える。
左の斜面の黄金色が仙石原のススキ群落。
芦ノ湖はこの角度から見ると、単なるカルデラ湖ではなく、天然の超巨大なアースダムのようである。このダム状の地形は大涌谷からの溶岩流であろうか・・。
1分15秒あたりにイタリ池が映ります。
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