秦野には巨大な天然の地下ダムが
秦野という町は山裾の盆地にありながら、じつに溜め池が少ない。
丹沢山地の水を集め市街を貫流する川も金目川と、支流の水無川という小河川がある程度。そもそも名前からして水無川である。
しかしこれは逆に秦野の水事情にとって有利に働いている。
丹沢山塊から流れ落ちてくる豊富な水は、扇状地の扇頭部の砂礫層でいったん地下に潜ってしまう。おかげで水無川といいつつ、その地下には芦ノ湖の水量の1.5倍という巨大な地下水盆、つまり天然の地下ダムが広がっているのだ。
今でも町の上水道供給量の7割は地下水でまかなわれ、まさにダムいらずの町。
金井配水場はそんな秦野市の上水道施設のひとつ。浄水された水をポンプ圧送し、各戸に供給するための貯水池。タンク型のほか地下埋設のプール型貯水池も併設されているようだ。
配水池と呼ばれることが多いので「金井場配水池」としたが、秦野市の公開資料および現地の銘板には「金井場配水場」と記されており、個別の池についての名称は未確認。
震生湖のへりから尾根伝いを東西にのびる景観のよい小径沿いにあり、ウォーキングが気持ちいい。配水場には金井場休憩所が隣接している。
そしてもうひとつの幻の池が?
配水池はフォトジェニックなアングルを見つけるのが楽しみのひとつだが、南側に700mほど歩くとその名も「池窪の大悲観音」があり、くぼ地ごしに丹沢山を背負った配水池の豪快な姿を捉えることができた。
「池窪」という名が気になって調べてみると、なんと大雨の後だけ出現した幻の池があったらしい。
池窪の大悲観音から後ろを振り返れば、これまた目を疑うような造形の砂口配水池がそびえていたりする。
マークした場所は、金井場休憩所。