水辺遍路

訪れた全国1万1,300の池やダムを独自の視点で紹介

くじゅう連山の山池群(大分県)

くじゅう連山の山池めぐり ver.1.1(2022年6月)

 

くじゅう連山の山池さんぽ

火口湖と湿原の豊富さは九州随一

同じような標高の鐘状火山が林立する「くじゅう連山」は、数多くの「窪」と呼ばれる火口や「河原」の名の付いた湿原をたくわえており、個性的な山池があちこちに。名前も付いてない池や池塘も含めれば、十、二十はありそう。

「くじゅう」と「久住」と「九重」は別?

「くじゅう」の名にはいくつか由来があり、今なおその表記には「久住」勢力と「九重」勢力が拮抗している。中岳の御池は「久住山」の一角にあるが、当ブログの池名には連山の一角として公平に「くじゅう」という平仮名表記を採用した。

山麓湖沼群

男池が近年は映えスポットとして有名に。ほか南麓の納池など、くじゅう連山からもたらされる凄烈な湧水がつくる池たちは、アクセスしやすく見ごたえもありエントリーに最適。

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筑後川の水源「坊ガツル」

標高1,230m。連山の峰々にぐるりと囲まれた桃源郷のような盆地「坊ガツル」は九州の大河・筑後川の源流でもある。ラムサール条約登録湿地。
登山者用キャンプ場あり。


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火口湖群

九州で火口湖群といえば霧島連山であるが、ここ、くじゅう連山も小粒ながらピリっとした火口湖が頂上や山腹に点在。
「おいけ」と「みいけ」のダブル「御池」を筆頭に、米窪、池窪などの「窪」群も。

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湿原と池塘

雨ヶ池

坊ガツルのほか、湿原のなかの池としては雨ヶ池が代表格。

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タデ原湿原

ビジターセンターがある。

法華院温泉と砂防ダム群

盆地の扇頭にあるのが法華院温泉。標高は1,303mで九州では最高標高にある温泉。
温泉地の先の沢は荒涼とした崩落地形で砂防ダムが重連をなす。




 

くじゅう連山の登山口

登山口は豊富で、ビジターセンターやレストハウスを備えるものも。

赤川登山口

御池に対しては距離がいちばん近い登山口。南西側からアプローチするかっこうになる。
登山口には無料舗装駐車場、トイレ、温泉があって快適。登山路もよく整備されている。


登山道

牧ノ戸登山口

標高1100mで夏は涼しいがトイレがまあまあ(2022年時点)。山頂までの高低差が少ない。
キャンプ行為は禁止。


坊ガツルの登山口

くじゅう連山の中央部にある盆地「坊ガツル」のキャンプ場わきにも大船山への登山口がある。




 

くじゅう連山の景観

南麓の納池のあたりから

重厚感のある根張りが上に上がるつれて奇峰をつらねていく変化に魅せられる。




日本にある「御池」でいちばん標高が高いのは?

九州で「御池」といえば霧島の懐に神話的な湖面を開陳する宮崎県の御池が観光地としても知られる有名どころであるが、ここ大分の百名山・くじゅう連山にも二つの御池が鎮座する。
こちらのダブル御池はいずれも山頂近くにある山池なので会うには本格的な登山が必要だ。二つは読み方が異なり中岳の山頂わきに立地するのが「みいけ」、大船山の方のは「おいけ」と読ませるあたりマニア心がくすぐられる。
全国的に「御池」(おんいけ、みいけ、おいけ)の名を持つ池は魅力的な池が多い。日本第二位の高峰である南アルプス北岳には標高1,200mの山腹に白根御池、池山御池があり、長野県や佐渡にも御池という山池がある。
ここ九重の御池をのせている中岳は九州本土における最高峰(1,791m)だけに、もしかして「日本でもっとも高い御池」ではないかと思ったが、湖面標高は少し下がって1,710m前後、お隣の大船山の御池は1,740mぐらい、さらには長野県の御池も1,770mぐらいにあって何とも微妙!!
九州では池が全面結氷することがめずらしいのか、中岳御池の結氷は地域ニュースにもなり、氷の上を歩くのが登山者たちのちょっとした憧れになっているとか。さらにスケートを持ち込む猛者もいるそうだ。

まさに連山の秘宝のような立地の山池だ

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絶滅したはずの熊が!

九州では熊は絶滅したという定説を信じ込んで、くじゅう連山の攻略は熊鈴や熊撃退スプレーも持っていかず、完全に油断していた。
山池攻略の登山を終えて夕刻、クルマで下山していたときのこと、やまなみハイウェイの路上にイノシシより大きな真っ黒い生き物が。少し距離があったのでクマとはっきり確認できたわけではないが、真っ黒でおっとりした動きだった。九州で熊が生息となると大発見では、と思ったら、くじゅう連山でも目撃情報がいくつかあった。


 

マップ

くじゅう連山の山池マップ

ver.1.1(2022年6月更新)

現地案内板マップ

出ている池は、雨ヶ池のみ。

Google マップ

マークした場所に登山口駐車場。