案内板に小さく記された「温泉溜池」の文字に興奮!
岳温泉は百名山・安達太良山の山麓にある味わいのある温泉街。
そのはずれに散策スポットとして公園化されている鏡ヶ池の下段に位置するのが、ここで紹介する緑が池。
もともとは大和ため池という溜め池だったが、近くに岳ダムができたことで農業用としての役割を終え、現在は観光用になっていると地元の人の話。
確かに明瞭な堰体構造が見てとれる。堰体下には観光客用の駐車場になっていて、ボードウォークと遊歩道で池と行き来できるようになっていた。
それにしても、すぐ上手にある鏡ヶ池とまったく水の色が違う。
せせらぎが設けられ、確かに鏡ヶ池からの水が流入している。隣あっているのに、これだけ水の色が違うことは、じつは重ね池では必ずしもめずらしいことではない。それでも、水の色に何か違和感を覚え、注意深く池を一周してみることにした。すると原因を見つけてしまった。
地図には描かれていない、もうひとつの流れ込み。
歩いていると、右岸側に、白いものが流れ込んでいるような場所が。水面の色はここを起点に滲むような感じで変色している。
草は自然とそこだけ枯れている。
こんな感じの池は、どこかで見たことがある。ヒントはこの池の案内板にあった。
池の上手に岳温泉街が広がっている。そして案内板に、さらっと記された「温泉溜池」という文字。
地図では温泉から直接、池に流れ込む水路らしきものは確認できないが、航空写真にすると上空から見ても明らかに、ここを起点に池の水が変色している。
もともとは農業用溜め池だったところに、右岸側に導水管を追加して温泉水が流れ込むように改造したということか。しかしなぜ?
思い浮かぶのは神奈川県箱根のイタリ池。温泉街に供給するための温泉水を貯めておく特殊な貯水池である。池よりも高い位置にある温泉宿にはポンプで山頂近くの別の池に水を引き揚げている。あるいは、ここもそれと同じ役割だろうか。農業用としてはいささか不似合いな演出感のある取水塔は温泉水を取水するためのもの?? といっても、供給用の温泉水を貯めているなら、立ち入りが自由というのも変である。毒物でも捨てられたら、温泉街が営業停止になるリスクも。
となると、これは単に温泉水を排水しただけ?
利用するためではなく勝手に温泉水が流れ込む池としては、栃木県日光の湯ノ湖があった。そういえば、あの湖も水の色はこんな感じだった。
農業用ため池としての役割を終えて、観光用の池になったという地元の人の言葉からすれば、温泉水として使うためでなく、水の色を温泉で変色させて話題にしようという演出か、そうなると「緑ヶ池」という後付けの愛称も合点がいく・・などとあれこれ穿ち妄想を楽しんだ。
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マークした場所は、緑ヶ池堰体下の駐車場