水辺遍路

訪れた全国1万1,450の池やダムを独自の視点で紹介

湯ノ湖(栃木県日光)

【ゆのこ / 日光湯ノ湖】

金精峠から見下ろした湯ノ湖と雲海に覆われた戦場ヶ原。背後の巨大な斜面は百名山の男体山(2024年9月)

奥日光の温泉郷を抱く、毛鉤釣りの聖地

湖の北岸は「湯元」という奥日光最大の温泉郷、流入および流出河川は「湯川」、吐き出しには「湯滝」があり、まさにネーミングから湯づくしの天然湖沼「湯ノ湖」。
温泉がせせらぎとなって流れ込んでいるため、湖口近くは湯気が立ちこめ、幻想的な水の色を見せる。
湖畔はボートやレストハウス、広場などが整備され、無料駐車場、公衆トイレも充実。登山やハイキング、釣りの拠点として人気。
インレット側には奥日光の総湯ともいえる湯元の温泉街があり、最奥部には湯の湖に流れ込む温泉水の水源池もある。
避暑で滞在していた外国人がフライフィッシング用に北米原産のカワマス(ブルックトラウト)を移入して100年以上の歴史がある湖でもある。


釣り向きの魚を明治時代に北米から移入

カワマスとホンマス

明治時代に北米原産のブルックトラウト(カワマス)が、フライフィッシングのターゲットとして初めて日本に放たれたという由緒ある湖だけあって、休日には陸っぱりや貸ボート利用のフライマンやルアーマンがぞくぞくと入釣。
また、湯ノ湖以外ではほとんど見られない「ホンマス」は東日本型のヤマメと西日本型のアマゴを掛け合わせたもの。昔とはいえ、なんちゅう遺伝子汚染。
釣りには入漁料が必要。

外国人が開拓したフィッシングレイク

明治時代から昭和初期にかけて外国人の避暑地になっていたことから、フライフィッシングが盛んに行われたようだ。

フライフィッシングの聖地として

明治時代からの歴史あるフィッシングレイクとして、現在も試験研究水面として持続性のあるレジャーと水産業のあり方を研究が進められているため、マイボートの持ち込みは禁止など、細かい釣りルールがある。
貸しボートによる釣りのほか、立ちこみでフライフィッシングもできる。


生息魚種

カワマス、ニジマス、ヒメマス、ホンマスといったトラウト類のほか、コイ、フナ、ワカサギ。




 

湯の湖の地形と形態

形態と成因

湖面標高1,480m、湖周長2.8kmの堰き止め湖。
成因は三岳(みつだけ)の溶岩流による湯川の堰き止め。堰き止められた場所は落差70mの豪快な湯滝となっている。
下の空撮写真からは湯ノ湖に向かって方流れしたような噴火口らしき窪みがいくつも見て取れる。
湖尻側はまるで堰体のように、なめらかな溶岩の堤になっていて、惚れ惚れするような地形だ。

金精峠から見た湯の湖

湖の後ろには戦場ヶ原をはさんで男体山が堂々と鎮座。


全景(空撮)

湯の湖全景。手前が湯元の温泉街。(2018年)

戦場ヶ原から見た湯ノ湖(空撮)

吐き出し側となる湯ノ滝も見える。このアングルでは湯ノ滝と湿原との高低差がよく分かる。(2024年)

湯の湖と中禅寺湖

湯の湖から流れ落ちた水は戦国原を貫流し、奥に見える中禅寺湖に注ぎ込む。

ジオラマ

ビジターセンターの展示より。

湯ノ湖唯一の半島「兎島」

特徴的な半島は兎島といい、釣りの好ポイントになっている。
半島の中は鬱蒼とした原生林。




流れ込み(北岸)

堆砂による湿原

集水地形の谷

対岸側は湖頭。奥は金精峠。

湯川


温泉の流れ込み口

温泉が流れ込んでいるあたりは水の色が不思議な感じ。


湖尻と湯滝(南岸)

湖尻側の二本の吐き出し

二本の吐き出し口には遊歩道の橋が架けられている。


溶岩テーブル(滝の上)


湖尻側の岸に見られる溶岩

湯滝

溶岩堰き止め湖の吐き出しが滝になっているのは、中禅寺湖と同じ構造。
滝の上はすぐ湯ノ湖。


西岸(外山)

西岸側は山が湖まで迫り、遊歩道も湖面と比高がある。


 

湯の湖の施設・設備

汚水処理施設

湖畔に温泉街があるため、その生活排水を処理してから放水するための専用の下水処理場があった。




遊歩道

ほぼ完全に歩車分離で湖畔を一周できる。


貸ボート


日光山温泉寺

湖畔のレストハウス



ビジターセンター

展示



キノコやカエルのガチャガチャ


公共無料駐車場



 

湯ノ湖の動植物

ラムサール条約登録湿地

貴重な湿地性植物と水鳥も多く、湖を含めた一帯はラムサール条約登録湿地に認定。

日本の重要湿地500に選定

ヌマガヤ、イボミズゴケ群落、オオアゼスゲ群落が選定理由。

クロベの大木



 

案内板





 

マップ

ニッポン湖沼図鑑マップ(部分)

日光の湖沼図は書籍表紙に使ったver. 4.0まで同じ構図だったが、2024年9月、アングルを全面刷新したver. 5.0に着手。以下は作成中の一部。
奥深い日光の湖沼群を一望できる図で、長かった日光湖沼行脚の集大成になりそう。

池さんぽマップ(書籍版とブログ版)

Googleマップ

マークした場所は駐車場。