「ミステリアス池100選」に必ず入れたい霊池
魅力的な地形が広がる四国カルストのただ中にある里に、龍王神社のご神体となっている小さな霊池がある。
四国山地の山里にある池なのに、海運や商売繁盛の池神様として現在も春の大祭には各地から集まってきた多くの人々の祈願を一身に受けている。
この池は成り立ちもまたレアなドリーネ池というタイプのもので、池好きとしてはぜひ一見しておきたい。
また、この池の池伝説は新潟、神奈川、熊本の同名、類名の池にも通じる不思議な共通性がみられ、池伝承の伝播という視点からも興味深い。
強欲な米商人は池伝説の定番キャラ?
酷似したストーリーが天草諸島の城池にも
土佐出身の米商人である父の不正を知った「小松」という娘が、池に身を投げ龍に転じたという池伝説がある。
拙著『日本全国 池さんぽ』p141〜142に採録した熊本県天草諸島の袋池で、きわめて似たストーリーで米商人というディティールまで同じ池伝説を紹介しているが、正直、酷似ぶりに驚いた。
美女が池に身を投げたあとの変化(へんげ)には大蛇と龍の違いがあるが、大蛇と龍は池伝説においては相似的な相関にある。(『池さんぽ』p84のコラムでも触れた)
龍は水と利益をもたらす神として、現在も春に大祭があり、多くの祈願を集める。
「お松さん」という娘の小松ヶ池は三浦半島にも
同名の小松ヶ池は神奈川県の三浦半島にもある。
強欲な米屋こそ登場しないが、お松さんという娘が出てくる。三浦半島の小松ヶ池では姑にこき使われたお松さんが最後に池に呑み込まれるという救いのないストーリー。
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地下水が満たすドリーネ池
小松ヶ池は、雨水によって溶掘されたくぼみに地下水がたまり、水生植物の作用で泥炭層が池底を形成し、浮き島を持つ珍しいドリーネ池となった。
ドリーネ池は南大東島で顕著に見られる池の形態だが、本土側ではこのようなドリーネ池はめずらしいと思う。
年間を通じて水位の変動が小さいことから水源は地下水と考えられる。かつては生活用水として利用されていた。また、神社の近くにあったドリーネで相撲大会をするなど、生活に密着した存在だった。
ドリーネ池については『池さんぽ』p14〜19「南大東島カルスト池群」でも解説。
池は龍王神社のご神体
龍神と小松ヶ池との深い関係を感じさせる祠や手水などがそこかしこに。
霊池たる空気感が最高。間違いなく第一級のパワースポットだろう。
春の例大祭
取材したい。会場は池横のここ。
周辺の地形
四国カルストの独特な景観が広がる
Googleマップ
マークした場所は駐車場。