【ふくろいけ / 富岡城】
木々に囲まれているのに、水面に落ち葉がない不思議
神秘的な池である。
木々に囲まれているのに水面に落ち葉がないという不思議もさることながら、まずその立地が特異だ。海に突き出た陸繋島、内湾を見下ろす小山の上に城郭があり、その足下に海と接するばかりに袋池が水をたたえる。
水面に落ち葉がないのは、池の主の大蛇が夜明け前に娘の姿になって水面を掃き清めているからだという。この娘、もともとは地元の米屋の看板娘だった。親の不義を悲しんで池に身を投げたとも、足を滑らせて池に落ちたとも二通りの説があるが、いずれの話にも共通するのは親の米屋が秤として使う升でズルをしてせこく稼いでいたという点である。
それにしても、商売上のちょっとしたズルぐらいで大切な一人娘が大蛇になってしまうのだったら、今の時代だと大蛇だらけになってしまいそうだ。この時代、この地域のモラルの高さが印象に残る伝説である。大蛇になったあとも落ち葉を箒で掃くというのだから。
池の表にあたる場所に大蛇になった娘を祀った祠がある。
娘が大蛇になる伝説の類例は、赤城山の小沼など、全国的にいくつか見られる。
池の成り立ち
天草・島原の乱後に天草城の修築を担当した山崎甲斐守家治公によって溜め池として造られた。
池の形態と景観
立地
島原城を頂く小さな山を後ろに控え、堰体直下は港町になっており70mほどで港の岸壁。






堰体
堤体の外側は石垣組み、天端には舗装道が通る。


池畔の稲荷
「吉丸稲荷」とある。



洪水吐
二段のダム穴型。


吐き出し
写真右下にコンクリート地下水路が見える。
右岸側インレット
動植物
護岸に赤い中型のカニがいた。
案内板


Googleマップ
マークした場所が駐車場。