岩屋の疑似「胎内くぐり」で、まっさらな自分に生まれ変わる。
奈良時代、霊峰白山で悟りを開いたお坊さんが、この地に岩窟を見いだし観音さまを据えた。
これが開基となり岩屋寺として時代とともに信仰を集めるが、平安時代に参詣した花山法皇は、まさに西国三十三ヶ所霊場にも匹敵すると感嘆し、一番札所・那智山と三十三番・谷汲山の頭一字ずつを取って「那・谷・寺」(なたでら)と命名したとか。
境内には擬似的な三十三箇所めぐりの巡礼コースも設定されており、所要時間はおよそ60分。岩窟を母胎とみなし、死と再生の輪廻転生を疑似体験する胎内くぐりによって魂を浄化し、まっさらな自分に生まれ変わる。
那谷寺は国の名勝に指定されており、俳聖・松尾芭蕉も参拝し「おくのほそ道」の中でも触れている。
奇石さまざまに古松植ならべて、萱ぶきの小堂岩の上に造りかけて、殊勝の土地也。
石山の石より白し秋の風
境内の池でブラックバス釣り?
石仏を納めたいくつもの岩窟とそこに至る階段が刻まれた巨岩がそびえる那谷寺境内の遊仙郷・蓮池で、ブラックバスを釣りをした御年輩がいる。
もちろん遊びではなく、鯉の稚魚を放流するにあたっての駆除が目的で、この人はお寺の職員。
釣果はというと、10〜30センチのブラックバスが15尾ほど。バス釣りは初めてとのことであるが、その後、彼がバスフィッシングに目覚めたかどうかは不明である。
入場が有料の境内にあるこの池への密放流は難しい、というより、放流したところで意味がないので、おそらくは寺の上にある野池と通水しており、そこにブラックバスが繁殖しているということなのだろう。
寺の上には大小3つの野池がある。
那谷寺境内