海に面し、猫額の平地をはさんで高麗山は山頂に電波塔が立つ。地元では手軽な観光・散策スポットとして愛されている低山。
この山の山腹にある三つの池のうちのひとつ。
現地には立派な案内板が立っていた。それによれば江戸時代、人望の厚かった善兵衛さんが水が乏しかったこの地域のために、自ら先頭に立ってこの溜め池を造り、その功が幕府の老中にも認められ苗字帯刀が許され、三宅性を名乗ったという。
1600人もの人工と二年の歳月をかけた池は今、水はなく、藪の中に埋もれようとしていた。舗装道側から見える範囲では、ただの荒れたくぼ地にしか見えない。対岸の池畔には家が立ち、個人宅の門から先が堤の上を通る。池の堤が私有地のような感じで入れない。
ただ、門の表札に記された苗字は、あのお名前だった。









