日本で二番目に分かりにくい「ため池100選」の池。
それにしても分かりにくい。ため池100選に選ばれているにもかかわらず、郷土の農業文化を積極的に公開している地元土地改良区でさえ、なぜかこの池に関する詳細な位置や情報をあえて出さないようにしているとしか思えないほど。
おおよその場所まで近づくのだが、何度訪れてもよく分からず、2013年以降、水辺遍路では以下の池を内田ため池として誤掲載していた。ごめんなさい。
2017年8月にやっと特定に成功した池には、ちゃんと池名が記された標柱も立っていた。ただしアプローチ路は未舗装の農道で、周辺には池も多く、さらにこの池に関しては地図上で池として表記されていない。おまけに周囲100mの小さな池で雑木林に囲まれ、航空写真での特定も困難だったという事情もある。
特定に苦労した「ため池100選」の池としては、島根県の「やぶさめのため池」に次ぐ。やぶさめのため池の方は、厳重な獣除けフェンスなどで池に近づくことさえできなかったものの、内田ため池の方はそういったことはなく、池畔にはやや朽ちてはいるものの椅子やテーブルも置かれていた。
内田ため池は、池の生成、築造にまつわる由来は不明で、現在も水の流入経路は分かっていないそうだ。
この秘密めいた不思議な小池が、なぜ奥州扇状地に点在する200余のため池を差し置いて全国ため池100選に選定されたのかは分からないが、地元の小学生たちの体験農園を潤す水源として現役であり、池の構造もシンプルで分かりやすく、転落の危険性も少ない。そんな学びの場としての役割が重視されたのだろう。この池単体でため池100選になったというより、地域のため池群も含めての選定ということだろう。そういえば島根県のやぶさめのため池もまた、地元小学生たちの体験農地を潤す役割の小池だった。
ちょうど水抜きをしていた。現代ではなかなか見られないシンプルな樋の構造がよく分かる。
きれいに水が抜けるのは、ため池としてしっかり管理されている証しでもある。
Googleマップでは池として表記されていません。航空写真に切り替えると、池を確認できます。