水辺遍路

訪れた全国1万1,300の池やダムを独自の視点で紹介

胆沢扇状地の野池群(岩手県奥州)


日本最大の扇状地に点在する200余の野池と、2つの分水工。

奥州市の西側に広がる東北有数の穀倉地帯である胆沢扇状地には、「ダム」と名付けられたものも含め大小200以上もの野池が点在する。その扇形の要には、日本一の堤長を誇る胆沢ダムが控え、日本最大クラスの扇状地を潤している。この現代の巨大水源のかたわらに、昔から雨乞いの地として伝承に残るツブ沼がひっそりとたたずんでいるのは興味深い。
一方、これだけの扇状地が発達したということは、はん濫が多かったことの裏返しでもあり、一見、野池に見えるものの中には、洪水調節を主目的とした「衣川防災ダム」五兄弟のように水位を低く保つタイプのものもある。
扇状地内のため池では、大清水溜池、萩森溜池、中沢溜池等が御三家といったところか。しかしいずれの池も頑強なゲートやフェンス、高額の罰金を掲げる釣り禁止措置、外来魚駆除目的の水抜きもさかんで、釣り人にとってはフレンドリーなエリアとは言いがたい。
個人的な思い出としては、全国ため池100選に選定されている内田ため池を訪れようとしたが場所がなかなか特定できず、ホンモノに出会えるまで四年もかかってしまった。日本で二番目に分かりにくい「ため池100選」の池である。
その一方で、二つの貴重な円筒分水工を中心として親水公園が整備されており、日本最大級の扇状地を舞台とした農地と水をめぐる争いと労苦の歴史を感じることのできる施設は残されている。
水争いの激しい土地ではしばしば見られるように、ここもまた人柱伝説の残る地である。悲話としてドラマ性のある大堤にまつわる人柱伝承が伝えられているが、今や大堤自体は堤の名残りをとどめるのみである。

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掲載している胆沢扇状地、奥州エリアの水辺。

  • 胆沢ダム(岩手県奥州)★★日本一の堤長をもつダム。水没ダムも。
  • つぶ沼(岩手県奥州)★ワカサギ。池畔にキャンプ場。伝説あり。
  • 内田ため池(岩手県奥州)ため池100選。
  • 中沢溜池(岩手県奥州)立入禁止。
  • 外の沢溜池(仮称)(岩手県奥州)釣り禁止。
  • 万内堤(岩手県奥州)外来魚駆除。
  • 若柳ダム(岩手県奥州)
  • 胆沢フィッシングセンター(岩手県奥州)
  • 内田ため池ではなかった池(岩手県奥州)
  • 赤剥の池(仮称)(岩手県奥州)
  • 岩手県南フィッシングパーク(岩手県奥州)へらぶな管理釣り場。
  • 大明神沖沼(岩手県奥州)往年のバスポンド。
  • 徳水園の円筒分水池(岩手県奥州)★★国内最大級。駐車場あり。
  • 蛸の手分水工(岩手県奥州)★駐車場あり。
  • 大堤跡(岩手県奥州)人柱伝説と悲話。


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昔から雨乞いの場とされた伝説の水辺、つぶ沼。