鎌倉時代創建の建長寺境内にあり、拝観料が必要となる方丈庭園内の池。
難読。「さんぺきち」と読む。池を「ち」と読ませるのは、京都の金閣の鏡湖池(きょうこち)、銀閣の錦鏡池(きんきょうち)、龍安寺の鏡容池(きょうようち)など、禅寺でも世界遺産級の寺社池で見られるステータスのような読み方といえる。
通常、寺社池は寺の正面に配するのが一般的だが、蘸碧池は寺院建築の最奥に秘仏のように置かれているので、建物の縁台に立って初めて池と相対することができる。
池は蘭渓道隆の作。その形は「心」の字を体現しているともいわれる。蘭渓道隆は日本史の教科書にも出てくる人物で、中国からの渡来僧。
池そのものとは関係ないが、鶴岡八幡宮から建長寺に向かう巨福呂坂(こぶくろざか)の洞門に、水道トンネルがあった。
この水道トンネルは鎌倉市の中にあるのに「横須賀市水道局」と銘打たれていた。どういうわけだろうと疑問に思ったが、どうも戦時中の海軍施設だったみたい。なるほど、市境よりも海軍が強かったわけだ。いざ、鎌倉。