熊野古道の古色蒼然とした空気の中にたたずむ溜め池
駿田峠のトンネル入口のかたわらに脇道がある。
ふつうにクルマで走っていたなら、トンネルから明るみに出て目が慣れる前に通りすぎてしまうので、この脇道に気づくことは不可能だろう。
入っていくとすぐに木材工場があるので一瞬、私有地かと思って怯む。いったんは引き返してしまった。しかしここ以外、入口はなさそう。そう、自信をもって進むべし。ここは天下の熊野古道。
すぐに道は二手に分かれるが道標があるので迷うことはない。右が熊野古道、左は「ひょうたん池」と示されている。
写真とともに、池に迫っていこう。
秘境の中にあるようなワイルドな野池だが、じつは堰体の南西100mほどには桜ヶ丘団地という住宅地がある。ふつうだったらリスクの高い老朽ため池としてすぐに改修対象になりそうなところだが、住宅地側は山になっていて、もし決壊してもそちらに水が押し寄せることはなさそう。材木店はちょっとヤバいかもしれないけど。
こんな野趣あふれるスリリングな池に比較的手軽に会えるのも、本州にわずかに残された陸の孤島・南紀ならではの魅力だろう。
マークした場所は、アプローチ路となる熊野古道スタンプ捺印所。