水辺遍路

実踏・日本の湖沼 9,200湖

ひょうたん池(和歌山県那智勝浦)

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木々の間から神秘の池が

熊野古道の古色蒼然とした空気の中にたたずむ溜め池

駿田峠のトンネル入口のかたわらに脇道がある。
ふつうにクルマで走っていたなら、トンネルから明るみに出て目が慣れる前に通りすぎてしまうので、この脇道に気づくことは不可能だろう。
入っていくとすぐに木材工場があるので一瞬、私有地かと思って怯む。いったんは引き返してしまった。しかしここ以外、入口はなさそう。そう、自信をもって進むべし。ここは天下の熊野古道。
すぐに道は二手に分かれるが道標があるので迷うことはない。右が熊野古道、左は「ひょうたん池」と示されている。
写真とともに、池に迫っていこう。

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信じられないかもしれないが、この作業場を抜けていく。一見、私有地だが天下の熊野古道を復元した遊歩道のはず・・


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材木店の奥には石組みの水路がある


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この水路を渡る橋の先に、熊野古道のスタンプ捺印スポットがある


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もう一度、水路を木橋で渡ると分岐。右は熊野古道。左がひょうたん池。


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さすが雰囲気のある道である。ひょうたん池の道標が心強い。


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池の堰体に到着。スタンプ捺印所から100mほどだろうか。距離は短かいが、なかなかのスリルだった。しかしこの木のトンネルはただの道ではない。なんと堰体天端。右側に水面が見える。ちょっと見たことないほどワイルドな堰体だ。


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堰体に木がぼうぼう生えているものだから、なかなか池を見渡せなかった。ちょっと怖かったが木の枝につかまって堰体を少し下り、変なかっこうで撮影。すごいスリバチ感。落水したらどうなるか想像したくない張り詰めた空気。


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堰体天端から下流側を見ると、底樋から堤を貫通してきた水路があった。土中からかすかに水が流れる音が聞こえる


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堰体天端を奥まで歩くと、石造りの洪水吐が!! これもまたワイルド。野面積み? いやよく見ると石組みではなく岩盤を素掘っただけ?


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ぞぞぞ〜の高低差。木が生えているが堰体に立っています


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むむむ! 堰体の前法面(池側)をよく見ると、石垣補強のような・・


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堰体前法面を別角度から。やっぱり石組み? それにしてもすごい角度


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木がぼうぼうの堰体下流側法面と石組みのサイド側


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天端の中央付近。この下の土の中から、ころんころんと水音が。樋管が下を通っているようだ。


秘境の中にあるようなワイルドな野池だが、じつは堰体の南西100mほどには桜ヶ丘団地という住宅地がある。ふつうだったらリスクの高い老朽ため池としてすぐに改修対象になりそうなところだが、住宅地側は山になっていて、もし決壊してもそちらに水が押し寄せることはなさそう。材木店はちょっとヤバいかもしれないけど。
こんな野趣あふれるスリリングな池に比較的手軽に会えるのも、本州にわずかに残された陸の孤島・南紀ならではの魅力だろう。


マークした場所は、アプローチ路となる熊野古道スタンプ捺印所。