水辺遍路

訪れた全国1万1,300の池やダムを独自の視点で紹介

上来沢ダム(山梨県韮崎)

かみくりがさわだむ。上来沢調整池。

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玉石コンクリートの堰体は、近代土木遺産にも選定されている。

水力発電100%の電力契約者限定のレアなダムカード。

小武川にかかる小さな橋を起点とする林道は御座石鉱泉へと通じているので、ときどきタクシーやファミリーカーが砂埃をあげて通る。未舗装だったので用心してオートバイに乗り替えて進んだが、ダートは起点まわりのわずかな区間だけで、奥はずっと舗装路だった。クルマでもまったく問題なかった。大型ミキサー車まで爆走していた。おかげで頭から爪先まで砂埃で真っ白になった。
5、6km進むと右手に未舗装の分岐路があった。ダムへのアプローチ路のようだ。クルマ止めのゲート。ここからは徒歩となる。
沢沿いにいくつもの砂防堰堤を横目に進み、小さな瀬渡りの洗い越しを経て1kmほど登り坂を歩いていくと、正面に古風な玉石コンクリートの堰体が見えてきた。
近代土木遺産に選定された東京電力の上来沢ダムである。
堰堤は淡路島の玉石モルタルダムを思い出させるものがあるが、直線的な洪水吐は実直な印象。流れ出し部分だけのコンクリートは改修されて新しい。堰体右岸側は最近、土砂崩れに見舞われたのか赤く色付いていたが、これが煉瓦のような味をだしている。
ダムまわりと貯水池は厳重にフェンスで囲まれているが、参拝者を峻厳に拒絶する一方というふうでもなく、というのも、水力発電100%の電気メニュー「アクアエナジー100」を契約した人限定という、ちょっとレア感のあるダムカードが発行されているダムなのである。

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エメラルド色の水が印象的な貯水池。


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ダムカード案内の掲示。
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ダムへのアプローチ路入口に設けられたゲート。ここから先は徒歩1kmほど。


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アプローチ路は未舗装だが路面はよく締まっている。砂防ダムも多い。


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洗い越し。ここで瀬を渡る。これより上に遡上できる魚は限られそうだ。


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基部が見えてしまった砂防ダム。


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最後のひと登り。正面に上来沢ダムが見える。