水辺遍路

訪れた全国1万1,100の池やダムを独自の視点で紹介

鎌倉食用蛙養殖場跡(神奈川県鎌倉)

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日本在住アメリカザリガニの聖地。百年前の20尾から。

上総掘りの自噴式井戸がある岩瀬下関防災公園は、いざ災害というときのギミックにとても興味深いものがあった。例えば公園ベンチは災害時には脚の部分がカマドとして煮焚きに使えるようになっている。各所にあるマンホールは簡易トイレに使える特殊仕様。パーゴラは天幕をかぶせれば簡易宿泊所に。
この公園についてのウィキペディアの写真には、上総掘り井戸の横に、ひょうたんの形をした池が写っていた。しかし現地では井戸から流れくだる人工せせらぎはあるものの、池が見あたらない。
あとでもう一度よくウィキペディアの写真と見比べてみると、池があるのは防災公園の前身「いわせ下関青少年広場」だった。どうりで見つからないわけである。
さらにその昔、ひょうたん池どころの話ではなく、じつに驚くべき池があったことも分かった。
ちょうど100年前の1920年、この場所に鎌倉食用蛙養殖場がオープンした。アメリカから移入した食用のウシガエルを養殖する事業者は数を増やしていったが、その中でここ鎌倉の養殖場はウシガエルのエサ用としてアメリカ産のザリガニを20尾を日本で初めて導入し、養殖場内の池で畜養した。
こうして養殖場内で増やされたアメリカザリガニだったが、洪水で近くの川に逃げだしたものが全国に広がっていったという。
今や日本中に生息範囲を広げたアメリカザリガニだが、彼らにとってみれば、ここはまさに聖地とでもいうべき場所だったわけである。

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自噴式の上総掘り井戸
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