【いのかしらいけ / 七井の池】
徳川家康も愛でた水源を取り戻す活動も
かつては武蔵野三大湧水池に数えられた井の頭池(いのかしらいけ)を有する都立井の頭公園は、日本初の郊外公園。
神田川の源流に位置し、江戸時代には地域を潤す生活水源で、鷹狩りに来た徳川家康がこの湧水に惚れ込み、わざわざ江戸城まで水を引かせたとの逸話も。また、江戸庶民の手軽な行楽地としても愛されてきた。
そんな豊かな水を水源とする井の頭池は、弁天池、ボート池、お茶の水池、ひょうたん池の4池の総称。
湧水量が減り池が枯渇するようになった昭和の高度成長期からは大量の地下水をポンプで汲み上げてはいるが、池の水質や動植物の生息環境は悪化。
200台もの投棄自転車が池底から見つかってメディアを賑わせた2014年のかいぼりをきっかけに、「ちょこっとかいぼり隊」などユニークな啓発活動を活用し、地域ぐるみで浅場や葦島の再生から将来的には湧水の復活まで、長期ビジョンに基づいた池環境再生の取り組みがなされている。
釣りは禁止。
池底から200台にものぼる大量の自転車が
メディアでも話題になったカイボリ
都知事選でにぎやかな2014年1月末から、水抜き作業「かいぼり」が実施され、池底から200台にものぼる大量の自転車が現れメディアの注目に。現地では、平日の日中にもかかわらず大勢の見物客でごったがえし、ちょっとした観光地状態。(下写真)
大量の外来魚を駆除
駆除された外来魚は、ブルーギル5300尾、ブラックバス270尾のほか、1mを越える草魚もいた。かいぼりは都の事業でもあり予算は3千万円。
井の頭池の形態と景観
環境再生の取り組み
葦島の再生
2018年のかいぼりから、湿地の生物多様性再生の取り組みの一環として、荒廃していた葦島を湿地を呼び込む施策がなされた。
浅場・湿地の再生
井の頭池でももっとも魅力的な水辺空間に育ってきていると思った。
浸透用の溝
雨水に混じる泥を除き、水だけを池に戻す仕組み。
ハンノキ林の再生
水辺の樹木の代表格であるハンノキを再生。
アメリカザリガニ駆除用のワナの設置
湿生植物の天敵であるアメリカザリガニの駆除は、浅場や湿地の回復には必須。
池の樹相
特徴ある樹相。
ひょうたん橋と吐き出し側
神田川源流
岩の護岸
施設・設備
お茶の水
徳川家康が江戸随一の名水と認めてお茶を淹れたことに名の由来のある湧水。
昭和時代に湧水は枯渇し、現在はポンプで地下水を汲み上げている。
井の頭自然文化園
入園有料。動物園と水生物園で構成されている。
売店、ボートのりば
ボート池には乗ったカップルが別れるというジンクスが古くからある。写真は2014年。
井の頭弁財天
中の島
弁天様を祀った島を持つ池は全国的に見られるが、ここ井の頭池の弁天島は国内屈指の規模と絢爛さを持つ。
銭洗い弁天
放生会
右写真の池への降り口は放生会用だろうか。
喫茶店
雰囲気のいい喫茶店が池畔に。
噴水
2014年撮影。
七井橋
井の頭遺跡群と石造仏群
井の頭公園駅
案内板
井の頭池情報
釣り禁止看板
マップ
現地案内マップ
ニッポン湖沼図鑑マップ