ちょっと懐かしの観光地の風情
東北電力の発電用ダム。現地に行って驚いたのは、ちょっと懐かしの観光地の趣きで、入口に「歓迎・飯野堰堤公園」と大書きされた看板が迎えてくれた。
飯野堰堤は土木遺産にも認定されている東北電力の発電用ダムで、阿武隈川が大きく屈曲したところで本流を堰いており、飯野ダムや蓬萊ダムという愛称もある。
公園入口の女神橋と女神川の取水堰
飯野堰堤公園入口を抜けるとすぐに木製の橋路面をもった女神橋。じつはこの直下に取水堰があり、阿武隈川に合流する手前で女神川を堰いている。
河原に下りる観光階段前に駐車場も
「新観光福島三十景」「ふくしまの遊歩道50選」の案内板に、このダムを詠んだ小唄の碑まである。地元のイチオシ感がすごい。
駐車場やトイレも整備。
おまけに堰体を川下から眺められるよう、河原に下りられる金属製の階段までついている。ただし禁漁区なので釣りはダメ。
河原に出ることで全貌を現した蓬萊ダムは、えんじ色のいかついゲートが早稲田ラグビージャージを思わせる力強い堰堤だった。
レアゲートマニア垂涎のストーニーゲートのはずが
ダムは重力式だが堤高は低くゲートの割合が大きい。大河川の本流を堰く発電用ダムでよく見られる取水堰タイプ。
そしてこのダムのゲートはストーニーゲートというめずらしいタイプというではないか。ストーニーゲートという用語は初めてだが理解した範囲で絵にしてみた。
それでは、蓬萊ダムのゲート、特にローラーがハシゴ状に埋め込まれているという支柱の戸溝に注目してみよう。
鋼製部品はすべてえんじ色で統一。戸溝に見える縦のレール。
あれ?
どうもローラーらしきものがよく見えない。
しかもコンクリートのエイジング具合に比べて、ちょっと新しすぎる気もする鉄製レール。
昔の写真を探してみると、ゲートの色はえんじ色ではなくグレー。どうやらゲートを新調した際に、現在は一般的なローラーゲートに交換してしまったらしい。
しかしもうひとつダム湖右岸側に取水用のゲートがあった。こちらの方がゲートは古そうだ。
うーん、こちらもゲートはあるにはあるようだが、小型でよく見えない。
残念だがストーニーゲートを確認することはできなかった。
「毎度ありがとうございます。東北電力です」という看板に描かれた蓬萊ダムのゲートは、えんじ色ではなかった。
マークした場所は駐車場(トイレあり)