水辺遍路

訪れた全国1万1,300の池やダムを独自の視点で紹介

壱岐島の池群(長崎県壱岐)

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壱岐島の生池(なまいけ)は、生池城との関係や伝説を拙著『日本全国 池さんぽ』の第六章「城池さんぽ」にて紹介させてもらった

 

壱岐島の池群の概況

長崎県全体の6割にあたる280基もの古墳がひしめくまほろばの王国・壱岐島は、小さな丘陵と平地が交互に入り組むような地形が島全体に広がり、溜め池を造るのに適した谷戸にめぐまれ、令和二年の時点で191の溜め池が正式に登録されている。
また、堤を補強するのに適した石にも恵まれている。ブラックバスが放流されて場荒れしたせいか釣り禁止の池が多いが、池までの道路事情も離島とは思えないほど良好。めぼしい池へのアプローチ路では、極端に狭隘な悪路というほどのものはなかった。
重力式コンクリートの大型ダムや、堤高30m越えのアースダムから小さな野池、あやしい伝説のある海跡湖、怖い河童伝説のある城池・・小さな島にいろいろな池があるだけに、島に連泊して自転車でのんびり池さんぽができれば悦楽の時間が過ごせるだろう。
ただ、池の多くは観光地化されていないので、トイレや休憩場所は自分でプランニングする必要があり、げんなりするほど釣り禁止も多いので、池めぐりを楽しむにはそれなりの池愛がいる。
壱岐島でもっともウェルカム感のある池をひとつ挙げるなら、男女岳ダムになろうか。それでも釣りは禁止であるが。芦辺フェリー港から3kmもないので、島に到着したら最初に目ざして一息つくのもいいだろうし、最後にとっておくという手もある。


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門野田貯水池はエッジのきいた表情がすごく気に入った。上水道水源池で、この池を堰く重力式コンクリートダムは堤高14.1mと、わずかにハイダムスペックに届かないあたりもマニアックでいい。


 

壱岐島の池は、石積み護岸をチェック

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壱岐島の特に南部エリアでは、野池の堰体近くでよく見られる石積みの護岸。堰体法面はさすがにコンクリートで改修されているケースが多いが、堰体サイドあたりには昔からと思われる野面積みが残っていた。
壱岐の野池の特徴は? といわれれば、迷わずこの垂直に近い石積み護岸を挙げたい。
堤自体が重力式コンクリートダムになったような池でも、こうした石積み護岸があっただけでなく、海岸の護岸でも同じような石積みを見かけた。


 

壱岐島の案内板

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掲載している壱岐の池群。

  • 生池(長崎県壱岐)★★★その名の由来は河童にまつわる怖ろしい伝説。
  • 壱岐風土記の丘下の池(仮称)(長崎県壱岐)
  • 武生水地区の池(仮称)(長崎県壱岐)
  • 壱岐風土記の丘の池(仮称)(長崎県壱岐)
  • 永田ダム(長崎県壱岐)
  • 石田西触の野池(仮称)(長崎県壱岐)
  • 長野ため池(長崎県壱岐)★雰囲気よい。
  • 勝本ダム(長崎県壱岐)壱岐島で最大貯水量のダム。
  • 当田ダム(長崎県壱岐)★★海と池が同時にどーん。高さ38mもあるアースダム。
  • 門野田貯水池(長崎県壱岐)★★一本の立ち枯れ大木が絵のよう。
  • ケンの池(長崎県壱岐)★★壱岐随一の怖い池。
  • イルカ池(長崎県壱岐)イルカと壱岐には暗い過去が。

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  • 池神社横の池(仮称)(長崎県壱岐)
  • 山田ほ場の池(仮称)(長崎県壱岐)釣り禁止。
  • 梅ノ木ダム(長崎県壱岐)堤高33m超のアースダム。釣り禁止。


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辰ノ島とケンの池。内側は穏やかなビーチ、外側は断崖という恐るべき地形の島。


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壱岐島最大の溜め池である大清水湖の近くには、怖ろしい伝説のある生池(なまいけ)も。


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島を縦貫する幹線国道から見える壱岐の野池。


 

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