水辺遍路

訪れた全国1万1,100の池やダムを独自の視点で紹介

八丈富士中央火口丘の池群(東京都八丈島)

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八丈島の島池さんぽ(ver2.2)2021年

伊豆諸島最高峰の頂上火口にある山池

ざっと周囲長40kmの離島にあって、標高854mの八丈富士(西山)の存在感は迫るものがある。天下の険と言われた箱根峠とほぼ同じ高さ。
このきれいな円錐形の山の頂上の火口壁に囲まれた森林を航空写真でクローズアップしていると、周囲長20〜50mほどの池が5、6ほど肩を寄せ合っているのが見えた。
しかしこの池に関してはネットでざっと調べた程度では情報はおろか名も見つからず。
いざ現地へ。

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まずは八丈富士の登山から

島の玄関口である底土港から15分ほどレンタカーで山を上っていくと、八丈富士に鉢巻をかけたような鉢巻道路へ合流。ほどなく登山口に到着。数台分の駐車スペースがあった。
ここから徒歩。1280段の溶岩でできた階段で登っていく。

登山口

駐車スペースあり。
案内板には、直径500m、深さ70mの火口底からせり上がった中央火口丘に湿地といくつかの池が点在、とある。
おお、やはり池であったか。さらに陥没によって形成されたという小穴(直径200m、深さ100m!)をのぞくと、「地下森林」なるものも見える、とも。地下森林・・、見てみたい。

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まずは長い階段

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火口壁の上に到着

ヤセ尾根状の火口壁にぐるりと取り囲まれて、なだらかな森林丘陵が眼前に。遠くには神津島もうっすら。その島に向かってまさに貨客船が白波を残して進んでいる。

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ここからは下り

小休止のあと、火口底まで下る。灌木をくぐる、なかなかワイルドな感じの路。

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火口底はアニメの世界?

そびえ立つ外輪山の崖に視界を遮られ、見上げれば空が丸い。
火口底の縁を歩くと、モウセンゴケなど植生が不思議な感じで、アニメの世界に飛び込んだみたい。
な、なんかすごい。

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イケー!

と、池があった。いや池には小さい。池塘クラス。
航空写真では50mクラスの大きな池があったが、どこだろう。

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遭難が怖いので

航空写真で見た大池を探して歩きまわる。
狭い火口の底にいるはずなのに、八丈富士大池(仮称)が見つからない。というか、われら、ちょっと遭難しかかっている? 妻がだんだんついてこなくなった。そういえば近くに深さ100mの陥没穴があるのを思いだし、捜索をあきらめルート復帰。
いや〜、たった500m四方の閉鎖空間でも、遭難ってありえるんだなあと、じつに勉強になった。
のちに土地の人に聞いた話では八丈富士大池(仮称)に行く正規ルートはないとのことで、学術調査の人がガイドを付けて行く程度だとか。
ということで、あらためてイラストで地形をおさらい。

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八丈島の島池さんぽ(ver2.2)2021年


 

こ、この景色は・・君の名は?

火口壁の上に戻り、あらためて中央火口丘を見やれば、むむむ。
中央にくぼみ。流れ出しき切れ込みも。
水面は見えぬものの池ではなかろうか。しかし外輪山に取り囲まれたこの景色、初訪のはずなのにどこかデジャビュな感じが。
と、思ったら、「君の名は。」の御神体に似ているかも。まさかこんな場所がモデル? スケール感としては「御神体」の方が倍ぐらいありそう。直径1kmクラスか。
しかしあちらの成因は隕石痕、こちら火口ということで、まったくの別物。ちなみに日本で隕石湖として国際認定されている池はまだなく、国内に三つほど隕石由来とする伝説のある池を確認している。

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youtu.be
bunbun.hatenablog.com


 

火口底の浅間神社

鳥居がほとんど森林に呑み込まれそう・・。壁に囲まれた閉鎖された森といい、こちらは御神体というよりラピュータみたい。

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地下森林!

キター! 地下森林。
腹ばいで足を妻に押さえてもらって身を乗りだしての決死の撮影。
ここに水がたまったら、日本一小さなカルデラ湖、そして日本一神秘的な山池になりそう。
逆に、これだけ森林が発達していれば植物の骸が遮水層となって池ができていてもおかしくないのに。よほど地下深くに刻まれた地球の裂け目につながっているのか。いつか探検してみたい。

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案内板

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Google マップ