「年老いた沼」の名をもつ北海道三大秘湖
北海道三大秘湖に数えられ、水の色がさまざまに変じることからオンネトー五色沼という愛称もあるようだ。
オンネトーはアイヌ語で「年老いた沼」の意。アイヌの湖名はいつも詩的でうっとりしてしまう。同名の池が根室にも2つある。
秘湖とはいえ、アクセス路は二車線の快走路で湖岸には1.5車線の舗装路が走り、雄雌の双峰をもつ阿寒富士を湖面に映し出すビュースポットとして展望所や舗装駐車場まで整備されている。自動運転でも行けそうなぐらいアクセスはたやすく、秘湖たる姿を求める人にはがっかりかもしれないが、道路が整備される前はそれこそすごい秘湖感だったのだろう。
そういえば三大の残る二つの秘湖のうち、オコタンペ湖も二車線のアクセス路が通じている。便利な時代は秘湖をも放っておかない。三つ目の東雲湖は日本秘境100選にも選ばれ、カヌーと登坂でアタックするしかないので、唯一残された秘湖らしい秘湖といえよう。
オンネトー湖は吐き出し側にキャンプ場、流れ込み側をさかのぼると錦沼を経て野中温泉がある。湖周遊歩道もあり、釣りもできそうであるが動力船は禁止されている。また、禁止はされていないものの、カヤックなども自粛してほしいとのお願いが看板に記されていた。お願い、というところに味わいがある。
湖面標高620mの阿寒富士の山腹に立地。湖周長4kmに対して最大水深9.8mなので、まず湖スペックは満たしている。実際に見た感じは全体的に浅く感じた。平均水深は3mとのことであるが、透明度が高いので底まで見える範囲が広く感じるようだ。酸性の温泉水が影響しているのか魚影は確認できず。湖の成因は火山噴出物による堰き止め湖。
オンネトー湖の表情を引き立てる雄阿寒岳と雌阿寒岳は百名山でもある。雄の端正な山容に対して雌は崩落痕を刻み荒々しい。雄と雌の印象が逆のようでもあるが、これもひとつの雄と雌の姿なのかもしれない。『日本百名山』には阿寒湖の記述に字数をさいてはいるが、オンネトー湖に関する記述はない。執筆された半世紀前は、やはり秘湖だったという証だろうか。













マークした場所は展望所の舗装駐車場。