しれとこぬま。
生きている間に一度は行きたい真の秘湖
知床岳山腹、標高900mのポロモイ台地上にある天然湖沼。これぞ真の世界遺産の秘湖といえよう。
流入流出河川なし、生物相不明・・漁船チャーターとヤブ漕ぎ、あるいはヘリで空から? なんて妄想をしていたが、気が付けばぼんやりしていられない年齢になっていた。
2023年の記録的な猛暑の北海道で、まずはやれるだけの事前調査を行なった。情報の多くは知床沼にこの二年で三回も到達したという知床羅臼ビジターセンターのスタッフの方におしえていただいた。この場を借りてお礼申し上げたい。
なお熊には99パーセント会います、とのこと。熊に会わないで帰って来れるのは、よほど運がいい人・・だとか。熊に対する準備と対処および覚悟は必須。
- 生きている間に一度は行きたい真の秘湖
- 数が変化?
- 知床沼へのアプローチ
- 地形調査(空撮)
- ヒグマには会うのがデフォルト
- 知床沼でのビバークについて
- 総合的に判断して
- 知床半島の秘湖についての著書
- 地酒と熊肉
- さらなる究極の秘湖が・・
- マップ
数が変化?
知床沼は奇跡のようなテーブルトップ状の天空台地にあり、その道のりは道なき道を延々と。熊のリスクと直面しながら、途中、蒼沼などでビバークするしかない。
水位の変化によって二つになったり五つになったりと数を変えるといった神秘性も踏まえれば、これぞ日本一の秘湖にふさわしい格を備えている。
知床沼へのアプローチ
相泊まではクルマで行ける
思い出の相泊(あいどまり)。20代のころからオートバイで何度か来た。ここには熊の穴という名物店があり、ここのイクラ丼はゴハンよりイクラの方が多かった! 小学生低学年の娘も連れていくことができたが、現在は店はなくなっている。
さて相泊の相泊橋の先には未舗装の駐車場があり、ここから徒歩で陸路か、船で海路かで進むしかない。


相泊から入渓口(ウナキベツ川)までの陸路
熊の穴の店があった場所は観光船の申し込み場になっていた。
玉石を敷き詰めたような道を徒歩で進む。昆布漁の番小屋が並び、漁師さんたちが仕事をしているかたわらを歩くかっこう。ネイチャーセンターの人によれば、最後の番屋の先を歩けば99パーセント、ヒグマに遭遇するという。会わなければよほど運のいい人だとか。
最後の番屋まで来た時、番犬に吠えられてビビってしまい立ち往生していると、ちょうど観光船が目の前の海上に停船し、何やら解説している。よもや私を熊と間違えたわけではないと思うが、ほどなくエンジン音を上げて先へと進んで行った。


巨大な壁のように視界を塞ぐ観音岩
ビジュアル的にも目立つ観音岩を越えた先にあるウナキベツ川が、知床沼への入渓口となる。
最後の番屋の先は、ひたすら海岸の岩の上を歩いて行けば入渓口まで行けるというが、途中、沢の渡渉や、へばりついての崖越えもあるといい、相泊からは2時間ほどかかる。
海路の場合、漁船チャーターはダメだった・・
羅臼ネイチャーセンターで聞いた話では、漁船チャーターはダメとのこと。知床半島の先端部の上陸に関しては、観光目的で動力船を使用することが禁じられているとか。
海路を使うならカヤックなど、自力で行けるものしか使えないという。
蒼沼から急崖を登坂
観音岩の入渓ポイントから蒼沼までは沢伝いだが、ここから崩落斜面の急登となる。
途中、「ニセ蒼沼」なる池もあるので注意。
ポロモイ台地に上がってからの伏兵
ポロモイ台地に上がれば知床沼までフラットにあと1km、と思いたいところだが、多くの人がここで背丈以上のハイマツのヤブ漕ぎで方向感覚を失ない、数時間迷った挙句に撤収するケースも多いという。
うまくいってもこの1kmに2時間は要するそうだ。
地形調査(空撮)
観音崎まで
まあ、なんとか歩けそうな感じではある。先にある番屋はすべて船でアクセスする。満潮になっても歩けるとのこと。
大崩落の上が知床沼をのせたポロモイ高原
大崩落の上が知床沼をのせたポロモイ高原だが、その左側の小さな崩落場所が登坂ルートとのこと。この崩落ポイントの下にはルートのランドマークとなる蒼沼がある。


ヒグマには会うのがデフォルト
ヒグマ密度が高いエリアなので、ヒグマにはふつうに遭遇する。食糧はすべてジップロックするなど、匂いを出さない工夫も必要。あと、ヒグマに進路を塞がれていたら無理せず撤収することも大事だという。
知床沼でのビバークについて
基本的に知床沼周辺での野営は禁じられているそうだが、一角にロープで区切られた野営ゾーンが設けられている。これらは羅臼ネイチャーセンターでお会いしたスタッフさんにお話。この方はお会いした前日も知床沼に行っていたといい、うっとりするほど美しい知床沼の夜明けの写真を見せていただいた。
地酒と熊肉
地酒というよりコラボ酒だが「知床番屋」が羅臼の道の駅で売っていた。熊肉の缶詰とともに贖う。


さらなる究極の秘湖が・・
日本国内で究極の秘湖ともいえる知床沼ではあるが、そもそも世界遺産「知床」の名を冠する湖沼という意味では、変な言い方だがメジャーな秘湖というしかない。
じつは知床沼の先、知床岳頂上をめざしていくと、標高1,182mの三角点横に湿原と天空の池がある。これぞ究極の秘湖かもしれない。
そして知床岳の頂上から少し下った稜線の直下、標高700mほどの鞍部にも山池があった。ルート不明。詳細不明。こいつも、とんでもない秘湖感だ。
他にも現時点で気が付いた秘湖たちを知床秘湖群マップに落としこんでおいた。
いつかアタックするのが夢だが、すぐにというわけにもいかない。こればかりは体力の衰えとの競争。