水辺遍路

訪れた全国1万1,450の池やダムを独自の視点で紹介

桂沼(北海道上ノ国)

桂沼へのアクセスのため作った資料。2021年・2023年と調査を行なった

秘湖のはずが、近くを大型トレーラーが

周囲長800mクラスの山池で、天然の土砂堰き止め湖。
観光要素として町が湖周路や案内板も用意した過去があるようだ。渡島半島ではレアな天然の山池だけに、どうしても会ってみたい池でもあった。
航空写真で確認できる範囲では、大型ダンプも通れる治山林道が沼の北1kmのところを通っているし、沼の東西500mほどの地点をそれぞれ林道が通っている。
航空写真では沼へのアプローチ路は確認できなかったが、クルマで池畔近くまで行けるという話や徒歩で行った話もあり、池までは一応、道が通じていることは間違いないようだ。

 

桂沼へのアクセス

上ノ国の道の駅を拠点に

まずは桂沼についての情報収集のため、渡島半島西海岸沿いの国道228号にある道の駅・上ノ国もんじゅへ。
拠点としても最適の道の駅だったが、桂沼はすでに上ノ国町の観光スポットから除外されてしまったのか、案内にも観光マップにもその名は出ていない。
案内所の人に訊ねたところ、沼の存在は知っていたが行けるかどうかは知らないとのこと。

道の駅

海岸沿いに国道南下。アメマス、サクラマスのポイント

道の駅から南へ5kmほど国道で進むと、大安在川河口に着いた。このあたりはサクラマス、アメマスの好ポイントで、ルアーマンの姿もところどころ見られる。
川を渡った少し先にある分岐路は、大安在川の左岸側を遠巻きに沿いながら上流へと上っていくダートになっていたので、この道に狙いを定め、いざ秘湖・桂沼へクルマで進撃開始。

分岐路入口の大安在川河口はサクラマスの好ポイント。

西側からのアプローチ(2021年)

水田の横を抜け徐々に山岳に入っていくフラットダート。途中、農家の人に桂沼のことを訊ねると、確かにこの道で沼まで行けるとおしえてくれた。
ただ、現在は大きな工事をやっているから、沼には行けないだろうとのこと。
もうちょっとしたら大型ダンプがこの道に何台も入って来るので、早く帰らないと何時間も出られなくなるよ、という話を聞いて、慌てて撤収。
それでも分岐点まであと200mぐらいのところで、5台ほど縦列を組んでやって来た大型ダンプが。やりすごすためは、皆にバックしてもらうしかなく、大変な迷惑をかけてしまったが、ほんとうにギリギリのタイミングだった。
クルマでも行ける可能性のある池について到達難関池というのもどうかという気もしたが、工事状況が分からず、いつたどり着けるか分からない状況。
分岐点からの距離は10〜15kmほどか。

アプローチ路


南側からのアプローチ(2023年8月)

第二のルートが町のホームページに!

上ノ国町のホームページで新たなルートが出ていた!

しかし通行止め

道道・石崎松前線が桂沼流出河川の合流部あたりで早くも通行止め。ついでに釣りも禁止とのこと。最近は北海道の川釣りも厳しくなってきた。

地形調査(空撮)

桂沼の流出河川である松倉沢川→目名川の谷筋に沿って空撮。

近くの沈殿池

石崎川に沿って二ヶ所に沈殿池があった。うち一ヶ所はGoogleマップにも掲載されている。

bunbun.hatenablog.com



再び西側からのアプローチ(2023年8月)

工事がなさそうな日曜に

2021年に工事車両が多くて引き返したルートを再アタック。
今回は工事がなさそうな日曜を選んだ。

標高320mで車止めゲート

しかしそうは甘くはなかった。一方、入山届ボックスがあるので、歩いて入る分には問題なさそう。
転回スペースを兼ねた駐車スペースあり。桂沼を案内する看板などは一切なし。


地形確認のため調査空撮

尾根伝いに立派な林道が続いている。奥にある風力発電風車の1.2kmほど奥に桂沼があるはず。

標高500m。林道「桂沼線」

林道桂沼線との標柱があった。桂沼へのルートで間違いないようだ。

標高620m。まさかの移動式発射台、じゃなくて・・

池まであと1.5kmほどと思ったら、小さなロケットマンが軍事パレードで走らせる18輪とかのICBM移動式発車台を思わせる巨大物が。こんなものが走っているのなら、もはや秘湖認定は取り下げ。
うーん、しかしカッコいい。風車の羽根って、こうやって運ぶんだ。


トレーラー街道から桂沼への分岐

トレーラー街道から分岐し桂沼へと南下する林道。
ここからは下り基調なので桂沼が近づいていることを実感する。しかし次第に草が濃くなる。ここは無理をせず進めるところまで進んで空撮。

分岐で大型トレーラー通過

さきほどの標高612mの分岐まで戻ってくると、ごごごと大型トレーラーが。熊ビビりにはちょっと心強いけど、気分萎えるなあ。
この林道、起点は小森山神社のようだ。今後の桂沼への新ルートになる可能性も?


 

桂沼の景観と形態

土砂崩れによる堰き止め湖ということだったが、周囲もけっこうフラット。不思議な沼だ。だんだん畑のようになった笹群落は何だろう? 明瞭な流出入口は見あたらない。次回の再調査もにらみながら今後、細かく解析してみたいと思う。




 

桂沼の北東1.5kmの池

名称不明の池があった。池のすぐ近くを林道が通っている。大胆に目立っている道は工事用の林道で大型トレーラーも通行できる。建設中の風力発電設備も見える。




エコと開発と秘湖

今回、衝撃だったのは小森山神社から大型トレーラーも通行できる工事用道路が桂沼の近くまで通じているということ。
このルートがのちのち一般開放されれば、桂沼はもはやクルマでも行ける一般的な観光地になるかもしれない。北海道三大秘湖と呼ばれる湖沼は、いずれもすでに観光地化している。
風力発電というエコのための事業とはいえ、森を大胆に切り拓いて大規模に開発する事業が本当に将来のためになるのか考えさせられた。
今回は往復12kmほどを歩いたが、ほとんどがクルマも通れるスペックの道だった。次はふつうにクルマで行けるようになっているかもしれない。秘湖がまたひとつ消えそう。


 


 

マップ

町が作成したマップ

水辺遍路作成のマップ

ゲートの位置の修正。左が正しいです。すみません。


Googleマップ